動脈硬化の大きな原因とされる高脂血症。高脂血症になると、動脈硬化を引き起こし心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる病気に発展する可能性があります。
高脂血症は、血液のコレステロールの量で判断することができます。高脂血症は、総コレステロール220mg/dl以上、LDL140mg/dl以上、中性脂肪150mg/dl以上のいずれか1つでも当てはまると高脂血症と診断されます。
血液検査で体内の異常を発見し、治療によりコントロールできればそのリスクを大きく減らすことができます。
●今回の名医は
埼玉医科大学附属病院 片山茂裕先生
日本大学医学部 廣高史先生
女子栄養大学 武見ゆかり先生
●ゲスト チャンカワイさん
血液検査値の見方
血液の脂質異常は、血液検査から判断できます。
・総コレステロール:140~219mg/dl
動脈硬化性の危険性が判断できます。
※総コレステロールとは、血液中に含まれるすべてのコレステロールを測定した総量のことで、善玉コレステロール(HDL)と、悪玉コレステロール(LDL)などを合わせた値をいいます。
※閉経後の女性は、ホルモンの関係で上昇する傾向があり、150~239mg/dlを基準値としています
高いと・・高コレステロール血症、糖尿病
甲状腺機能低下症、肥満、動脈硬化の危険性
低いと・・栄養失調、肝臓障害、甲状腺機能亢進症などの危険性
・中性脂肪(TGトリグリセリド):30~139mg/dl
動脈硬化性の危険性が判断できます。高いと・・肥満、食べ過ぎ、運動不足、肥満、動脈硬化、糖尿病、脳血栓などの危険性
・LDLコレステロール(悪玉):60~139mg/dl
動脈硬化を進行させます。高いと・・原発性高脂血症、糖尿病、肝臓疾患
・HDLコレステロール(善玉):男性40~99mg/dl 女性50~109mg/dl
動脈硬化を防ぎます。低いと・・心筋梗塞、脳血栓、脳梗塞などの危険性
●検査
血液検査で高脂血症と判断された場合には、必要に応じて以下の検査で血管の状態や脳や心臓の状態を確認することがあります。
・主な精密検査
眼底検査、CT、MRI、心電図、冠状動脈造影、心筋シンチなどの検査
LDLコレステロール値は、個人によって数値が違います。正確には、それぞれの精密検査をして、最適な数値を導きだすことが必要です。
●LDLの目標値
動脈硬化のリスクレベルに応じてLDLの目標値が設定されます。
最大 100未満
高 120未満
中 140未満
低 160未満
動脈硬化のリスクレベルとは
①心筋梗塞や狭心症をおこしたことがある人は、最大リスク LDL:100未満
②糖尿病、慢性腎臓病、脳梗塞 抹消動脈疾患を起こしたことがある人は、高リスクLDL:120未満
③リスクチャートにより判断
性別、年齢、喫煙、総コレステロール、血圧によりリスク分類
④低HDLコレステロール、早発性冠動脈疾患家族歴
耐糖能異常(糖尿病)があるかによって判断されます。
男性は女性より心筋梗塞の危険性が5倍高いそうです。
50歳以上の女性の場合には、閉経後急激にLDLコレステロールが高くなる傾向がありますので、年に1回は血液検査を受けて高くなったら生活習慣を見直してください。
●基本は生活習慣の改善
・肥満解消
・食事の見直し
・適度に身体を動かす
・禁煙
●気をつけたい食事(脂質異常症を改善するためには)
・糖質エネルギーは全体の20%~25%程度に抑えること
・LDLコレステロールの高い人は、卵を2日に1回程度にする。
・主食、主菜、副菜をとりバランスをとる
・食物繊維を多くとり吸収をおさえ排泄を促す
・中性脂肪を減らすEPAをとるために魚を1日1回食べる
とりすぎに注意
・バラ肉、ひき肉、バター、生クリームなどの動物性脂肪
・アルコールや甘いものは中性脂肪を増やします。
・目に見えない油にに注意 カレー ソーセージなどの加工食品
・油を使った食べ物は控えめに
脂質異常は毎日の生活をみなすことで管理できます。命を守るため、コレステロールの知識をしっかり学び、実践していきたいですね。