政治の世界でいろいろ論議しても、いっこうに改善しない私たちの暮らし。
私たちの大切な税金が、利権とともにどこかに消えていってしまうニュースを聞くと、本当に悲しくなってしまいますよね。
「歴史は繰り返す」と言われていますが、いつも同じような問題でつまずいているような気がします。
人は、本当に学習しないのかもしれませんね。というより「欲」が支配する人間には、無理なんでしょうか。
人間の能力を越えたAIが社会の問題を分析
そんな中、人間の能力をついに超えてしまったコンピュータ頭脳「AI(人工知能)」が登場。
AIは、囲碁の世界でもこれまで人が考えつかなった勝利の定石をつくりあげ、驚かさせてくれました。
一部の国では、「人間の能力の限界を認め、AIが政策決める・・」という試みもスタートしているといいます。
日本でも、少子高齢化社会の具体的な解決策は見えておらず、社会が完全に行き詰まっている状態ですよね。
そんな中、NHKが、「AIを使って社会への処方箋を導き出してみる」という面白い試みをしてくれました。
人口動態統計や産業動向調査など、5000を超える公的データをAIにインプット。
日本が抱える社会の問題を解決するためのキーワードを、AIに解析させました。
その結果、「日本の未来を動かす10の鍵」として導き出されたキーワードは、以下のものでした。
日本の未来を動かす10の鍵
①核家族世帯数
②40代ひとり暮らし率
③病院数
④女子中学生 肥満指数
⑤平均婚姻年齢
⑥乗用車保有数
⑦できちゃった婚率
⑧平均寿命
⑨老衰死亡者数
⑩婚姻件数
その中でも、最もキーとなっているのが「40代ひとり暮らし」だそうです。
「40代ひとり暮らし」が与える社会の影響
「40代ひとり暮らし」の人は、現在、全人口の1.9%、249万人しかいないそうですが、社会に及ぼす影響は、とても大きいとAIは分析しています。
「40代ひとり暮らし」が増えると、「自殺者数」、「餓死者数」、「空き家数」、「救急出動件数」が増え、「合計特殊出生率」「老人クラブ会員数」などが減るなど、いろいろな社会問題に影響してくるそうです。
その解決策としてAIが提案したのは、「家賃を下げること」。
家賃を下げれば生活に余裕ができて、結婚する人も増えて、「40代ひとり暮らし」が減り、上記のような問題がパラパラと解決していくとAIは指摘していると思われます。
日本では持ち家の人に対する補助は考えられてきましたが、賃貸の人への補助がありませんでした。
フランスでは全世帯の21.1%が、住宅手当を受けているそうです。
欧米では、シェアハウスや、幅広い世代の人たちが暮らす共同の住まいコレクティブハウスなど、新しい暮らし方がどんどん広まっています。
「独身」が問題ではなく「ひとり暮らし」が問題なら、シェアハウスやコレクティブハウスなどの住まいは、解決策になりそうですね。
AIが導きだした5つの提言
また、AIは、社会の問題の解決策として、次の5つの提言をしてきました。
健康になりたければ病院を減らせ
AIは病院(病床)が減ると、がん死亡数が減り、脳血管疾患死亡者数が減り、65歳以上死亡者数(男)が減り、平均寿命(女)が増加すると指摘しました。
この答えの理由を示すような実際のデータがあります。市の経営が破綻した夕張市です。
夕張市では病院数が減ったため、市民の意識が変わり自主的に健康管理をするようになったそうです。
市民は、自ら体操をし食事に気をつけ、毎日バナナを食べて、ボランティア活動の時間を増したそうです。
その結果、市民全体が活動的になり、健康度が大きくアップしたと考えられます。
少子化を食い止めるには結婚よりも車を買え
AIは、この答えを導き出すためのデータとして、「婚姻件数」「できちゃった婚率」「平均婚姻年齢(男)」を参考にしたようです。
驚いたのは、「婚姻件数」「できちゃった婚率」が上がっても、出生率は増えないという指摘です。
出生率を上げるには、製造業付加価値額が増え、自動車の保有数が増える必要があるとの関連性(連動している)を示しました。
この指摘は「高額商品である車が買えるようになる=経済的に豊かになる=出生率が増える」のように連動していると考えられます。
ラブホテルが多いと女性が活躍する
最近のラブホテルは、外国人の宿泊や宿泊施設不足の解消策として注目されていますが、それが女性の活躍とどう結びついているのでしょうか。
マツコさんの推測では、女性が積極的になりラブホテルの利用が多い地域は、女性の活躍も多い(活躍しやすい)のではないか、という事でした。
マイナス面としては、ラブホテル軒数が多いと、財政力指数、スポーツ平均時間、住民税が下がるとAIは解析してましたが、この関連性はよくわかりません。
男の人生のカギは、女子中学生のぽっちゃり度
AIからのこの提言は、理由を推測するには困難を極めました。
女子中学生の肥満指数が下がると起こることは次の通りです。
【女子中学生の肥満指数が下がることで起こること】
趣味・娯楽平均時間が増える、40代男離婚率が下がる、30代前半男未婚率が下がる、年間賞与等が上がる、完全失業者数男性が下がる、60代前半男離婚率が下がる、スポーツ平均時間男性が上がる、大卒男初任給が下がる
ちなみに男子中学生の肥満率は、ほとんど社会に影響がないようです。
貧困家庭の子供に肥満が多いというデータがありますので、家庭の経済力が背景に潜んでいるのかもしれませんね。
40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす
40代ひとり暮らしは、ほかの4項目より多くの社会的な要素と関連しています。
ひとり暮らしの人たちは、自分や健康について注意する人もおらず、行政との接触もなく、生活が孤立している傾向があります。
また、ひとり暮らし世代は、自分だけの問題だけでなく親世代の生活にも大きな影響を及ぼしています。
AIは、40代ひとり暮らしのパターンとして、
40代ひとり暮らしの男女のタイプ分け
AIは「40代ひとり暮らしの男女」をタイプを次のように分類しています。
【40代ひとり暮らし男性3タイプ】
仕事バリバリタイプ 38%
結婚願望50% 月収20万円以上 正社員である
サービス残業 一戸建て(家持ち) 給料は成果主義 幸福度80% 月に1回スポーツ 年金あてにせず よくかまずに食べる
結婚したくてもできないタイプ 33%
結婚願望度90% 月収20万円以下 仕事はいろいろ 幸福度20% 最近眠れない 民間の借家 タバコは毎日10本 列に割り込む
現実逃避タイプ 18%
結婚願望30% 貯金は250万円未満 準正社員 需要に不安 公営の借家 1年前より不幸 友人関係は充実 ギャンブルは毎日 そこそこ満足
【40代ひとり暮らし女性3タイプ】
充実キャリア 1人暮らしで楽しいタイプ 55%
仕事が生きがい 貯蓄有り 健康状態よい 週に1度スポーツ 1年前より幸せ まわりは気にしない 計画を立てて行動 孤独を感じる
結婚はこりごりタイプ 22%
仕事はいろいろ 離婚か死別 結婚満足度10% 人は信用できず 列に割り込む 朝食食べない 競争は楽しい
日々に不満タイプ 15%
非正規社員 貯蓄なし 5年後収入は2割減 毎日缶ビール3本 充実感なし 感情的になる 日々ストレスあり
AIは答えをだしてくれますが、その理由は教えくれないそうです。ですので、理由は憶測するしかありません。
「結婚は女性に安心を、男性に不安やプレッシャーを与える」という位ですから、男性にとって結婚とお金は絶対に切り離せないもの。
お金がなければ結婚も遠い存在になってしまいます。また、お金の余裕ができないと、生活のすべてのスケールが萎縮してしまいます。
AIは、40代ひとり暮らしが幸せを感じるようになるためには、「仕事をおもしろがらないこと」だと指摘しています。
その意味は、「仕事以外にたくさん幸せがある・・、幸せの価値観を仕事にするな・・、仕事に逃げるな・・」という忠告かもしれませんね。
参考番組:NHKスペシャル「AIに聞いてみたどうすんのよ!?ニッポン」