宮城県仙台市の東北大学病院に肩関節専門の外来があります。肩の痛みに悩む患者さんを約10万人救ってきた専門外来です。

肩関節外来は、整形外科が中心となり医師6名、理学療法士6名で構成されています。

肩関節外来のリーダーは、井樋(いとい)栄二先生です。

肩関節外来の受診例

この病院に最後の希望を託した患者さんがいました。

今から10年前に右肩に痛みを感じるようになりましたが、痛みは一向に治りませんでした。

20以上の病院を回りましたが、ただの五十肩と言われて対処してもらえず、このまま一生痛みと付き合っていくのかと思っていました。

問診

まずは、詳しい症状を詳しく聞き出します。

10年前に起こった時に思い浮かぶ原因を聞きます。患者さんは、「パソコンのやりすぎかな」と思ったそうです。

肩以外に、痛みの原因になる「糖尿病」などの病歴があるか聞き出します。

生活上の不安や心の悩みなども聞いて行きます。

打ち込む情報は2000字を超えます。

この問診で、肩の内部に異常があると判断し、次に検査に回します。

検査

レントゲンで患部を撮影します。画像は電子カルテで、リーダー 井樋(いとい)栄二先生の元にも表示されます。

診察

リーダー 井樋(いとい)栄二先生による診察が始まります。診察の前に問診の結果と画像である程度解析をしておきます。

問診では、「夜間痛がひどい」など、レントゲンでは、肩関節内の白い影と大結節や肩峰に少し骨厚画像があることを見つけます。

その後、筋肉に負荷をかけ肩の筋肉を1つずつ検査し、細かく痛みの出方を探ります。

診察の結果では、腱板が痛んでいる可能性があると推測し、より詳しく診断するためにMRIの検査をすることになりました。

MRI検査

腱板は、肩の入り組んだ場所にあるので、MRIでも撮影が難しい場所でもあります。

東北大学では独自に開発した方法で、よりクリアな撮影が可能になりました。

MRI撮影の結果では、腱板炎が見つかりましたが、腫れが思ったより少ない為、これが痛みの原因とも思えないと言う所見でした。

MRIで分かったことは、4本の腱のうち、2本に若干の腫れが見つかったこと。

しかし、リーダーは、腫れの他、腱がやや毛羽立っていることを見つけました。腱の表面がわずかにちぎれ始めているのではないかと推測します。

最終診断

最終診断の為に、目指す鍵盤の表面に麻酔を打ちます。

痛みが腱板のちぎれだとすればその部分に麻酔を打てば痛みが消えるはずと言う推測の元、毛羽立っている腱に麻酔を打ちます。

麻酔が効いてきたころ、患者さんの様子を診て判断します。患者さんは麻酔を打つと痛みが消えていました。

先生の診断は、「腱板炎」でした。原因は1枚の腱板にありました。

リハビリ療法士によるリハビリ

患者さんは、痛みを緩和し筋肉を鍛えるリハビリを指導してもらいます。

リハビリの1例
①寝転がった状態で丸めたバスタオルをお腹に置く
②痛みがある方の手で丸めたバスタオルを挟んでゆっくりを押す

これらリハビリを1日2回ほど繰り返します。

患者さんは、リハビリを繰り返していくうちに痛みが治まってきたそうです。