がんは、早期発見、早期治療すれば、高い確率で治すことのできる時代となりました。

しかし、発見が遅れたり、進行性ガンの場合では、従来の治療法では限界が見えてしまうケースも数多くあります。

そんなときに思うことは、新聞やテレビなどで毎日発表されている、開発中の新しいがん治療薬のことです。

「もし、あの薬が使えるなら・・」治療法がなくなってしまったり、余命を告げられてしまった人や家族なら誰もが思うことです。

実は研究段階の薬であっても、治験というレベルまで進んでいる薬なら、その治療を受けることができケースがあります。

点滴

薬の開発は、以下のようなプロセスを踏んで、安全性を十分に確かめてから承認され発売されます。

●新薬開発のプロセス
①基礎研究
②非臨床試験(動物に対するもの)
③治験(人に対するもの)
④承認審査
⑤完成
⑥販売

基礎研究から始まり、実際に薬として販売される確率は、1万分の1以下といわれています。また、開発期間は、10年、20年と言われています。

そのプロセスを踏んで、承認審査のためのデータをとっている段階にあるのが、「治験」といわれるレベルです。

治験は、医薬品としての承認を得るための最終段階の臨床試験のことであり、レベルに応じて、第1相、第2相、第3相と3段階に分かれています。

この治験を受けるには、主治医からの紹介のほか、自分で申し込むこともできます。

現在、治験の情報は、テレビや新聞、雑誌を通じて随時紹介されていますが、がんの場合ですと、国立がん研究センター中央病院が情報提供と募集を行っています。

国立がん研究センターは、国立の研究開発法人で、日本におけるがん征圧の中核拠点として研究、治療を続けている国の基幹病院です。

現在、治験を行っているガンの種類は以下のようなものです。

●治験を行っているガン
・膠芽腫
・乳がん
・卵巣がん
・非小細胞肺がん
・頭頸部がん
・悪性胸膜中皮腫
・中皮腫
・悪性胸膜中皮腫
・胃がん
・食道がん
・大腸がん
・肝臓がん
・胆道がん
・膵管がん
・膵神経内分泌腫瘍
・軟部腫瘍
・悪性黒色腫
・メルケル細胞癌
・リンパ腫
・白血病
・悪性リンパ腫/多発性骨髄腫
・肝中心静脈閉塞症
・同種造血細胞移植
・小児肝芽腫
・悪性腫瘍
・小児固形がん
・固形がん

がんの治験情報には、
①対象となるがんの種類
②使用される新薬(治験薬)
③実施方法(治験のデザイン)
④治験に参加いただける患者さんの身体状況(患者選択基準)
⑤治験責任医師
などが詳しく書かれています。

最近は、効果の高い新しいタイプのがん治療薬が次々と開発され、治験の段階まで進んでいます。

治験を受けるための条件が厳密に決められているため、申請すれば誰でも受けられるわけではありませんが、もし「受診や相談を希望される方」は、一度問合わせしてみてはいかがでしょうか。

●国立がん研究センター中央病院
〒104-0045
東京都中央区築地5-1-1
03-3542-2511(代表)

ネットでは、「国立がん研究センター中央病院で実施している治験等(医師主導治験も含む)」に情報が掲載されています。