40年間一生懸命働いて、あとは優雅な老後生活を楽しむと思っていたら、そこに待っているのは、不安だらけの老後。
これからどうやって生きていけばいいの・・と、だれもが不安に感じています。
現在の年金制度は、1961年に国民皆年金、国民皆保険を確立するため制定されました。当時は、少子化問題などなく、老後は子供と同居するのが当たり前だった時代です。
子供を産んで育てれば、老後の生活も確保され、小遣い程度の年金があれば充分でした。
時代が代わり、医療技術の発達によりどんどん寿命が伸び、子供と同居することはほとんどなくなりました。
老後は年寄りだけで生活するのは当たり前になった今、1961年に定められた年金制度では、成り立たなくなってしまいました。
今、日本国民の誰もが老後に対して不安を持っています。
・寿命がどんどん伸びていき、あと何十年生きるかわからない不安
・年金金額がどんどん下がっていく不安
・年金が枯渇するという噂に対する不安
・年金受給金額より、生活保護費用が高いという矛盾
・年金が不足しているのに、国民年金を払わない人は40%という現実
・老後施設が年金より高く入りたくても入れない不安
・絶対に無理だと思う、在宅ケアを推進している政府に対する不安
・認知症の有効的な治療法がまだないことへの不安
こんな風に老後の不安を書きだすと、いくらでもでてきますよね。
今の現状ですと「長生きしたいけど、お金がないからほどほどに・・・」なんて、とっても悲しい事を考えてしまいます。
年金の問題とセットで必ず語られるものに、少子化問題あります。子供一人を育てるには3000万円かかります。
老後の生活を守るには、子供を産まないか、産むなら1人だけにして老後資金を蓄えるべき・・そんな考えが蔓延すれば、日本は、加速度的に衰退してしまうような気がします。
NHKスペシャル「老後の蓄え大丈夫?」では、そんな不安を抱える国民の生の声を、炙りだしてくれました。
はたして、老後の不安を解消するための解決策はあるんでしょうか・・。
下流老人化と1億総老後崩壊
現在、65歳の人の年金は、現役世代の手取り賃金(男性平均)の63%ですが、85歳になったときの年金は、現役世代の手取りの44%となってしまうと言われています。
これから先、年金が実質減額になるのは避けられない事実です。
年金制度が崩れているのには色々な原因がありますが、生活の質の向上や医学の進歩で平均寿命が延びた事、消費税などがの負担が増えていることなどが上げられます。
また、1985年には、1人の高齢者を6.7人の現役世代が支えていましたが、2014年では、なんと2.4人で1人の高齢者を支えていたそうです。
では、老後に備えてどれくらいの資金を準備しておけばいいのでしょうか?
何歳まで生きるか分かりませんので、はっきりした金額は出せませんが、一般的な年金を受給する人で、男性が84歳、女性が89歳まで生きたとすると、生活費は1,700万円の不足するそうです。
この他、住宅のリフォーム代や子どもへの援助、介護のお金、葬式代などを入れると、3000万円が必要になると言うことです。
3000万円と言うお金を貯めるのはとても大変なことですよね。
お金を貯めるには、「節約するか運用するか」をしなければなりませんが、どちらが良いのでしょうか?
実は、節約をしても、運用をしても、結果は同じになるようです。
節約の場合→ 月々3723円の節約を30年間続けた場合、134万円の節約になります。
運用の場合→ 月1万円を利率2%で30年間運用した場合、その利子は134万円となります。
しかし、運用にはリスクが伴いますので、確実なのはやっぱり節約と言うことになります。
このような節約や運用は、現在の高齢者だけでなく、30代、40代の人にも必要となります。
就職氷河期世代(現在38歳~47歳)の人は、新卒で就職につけずやむなく派遣社員となった人がたくさんいます。
正社員と比べると将来もらえる年金も少なく、老後生活保護を受ける人は推計77万人になるといわれ、18~19兆円が必要とも言われています。
現在、2~300万円の非正規雇用者の若い人だと、年金は7~10万円がせいぜいだと言います。
これでは、1億総老後崩壊になるのも避けられそうもありませんよね。
世代内扶養
年金が枯渇していくなかで、資金の余裕のなくなった高齢者の最後の10年をどうフォローするかという問題があります。
その解決策として「世代内扶養」と言う案があります。今までは、現役世代が高齢者を支える「世代間扶養」でしたが、これからは、余裕のある高齢者が余裕のない高齢者を支える「世代内扶養」が必至になるといいます。
上位の何%が我慢し、下位の何%の人に出すか問題ですが、所得のある高齢者から税金として取れば良いと言う意見もあります。
しかし、老後の余裕を楽しみに一生懸命頑張って働きてきた人にとっては、それが減ってしまうのに納得がいかない人もいますよね。
年金崩壊の問題は、今や、政治だけの問題ではなく、個人が自衛していかなくてはならない時代になったことは確かなようです。
現在、東京などの首都圏では介護サービスが足りない状況です。ですので、田舎に早めにUターンしたり、早めに田舎の暮らしに慣れ、田舎の施設に入るのも1つの対策です。
都会に比べ、田舎の方が施設に入りやすく、東京圏の介護負担も減るようです。
安心して暮らせない国の経済成長はないと言います。安心して暮らせる老後の保証があるからこそ、お金を使うことができるのです。
国政や制度だけに任せるだけでなく、個人個人でしっかり知恵を絞らないと老後は守れない時代なんですね。