足のむくみは、だれでも経験したことがあると思います。夕方になるとむくむのは仕方がないことと思っている人も多いのではないでしょうか。
そんな誰でも経験するむくみですが、病的な程むくむのに、原因が分からない人も多いと言います。
そんな原因不明の足のむくみに苦しむ女性が、みんなの家庭の医学の番組内で、三重大学医学部附属病院 総合診療科 竹村洋典先生を訪ね、本当の原因を探りました。
番組で紹介された原因不明のむくみの究明
番組に出演した女性(50歳)は、今まで2年の間、足が腫れて痛みが続いていました。3件病院を回りましたが、原因はわかりませんでした。
長時間立っていると、痛みが増し、足がどんどん腫れて痛くなります。
特に左足は丸太のようになり、くるぶしも見えず、赤黒く変色してしまいました。
女性のファーストオピニオンは、「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」と言う診断でした。蜂窩織炎(ほうかしきえん)とは、傷などから菌が侵入し増殖、炎症を引き起こす病です。炎症により、むくみや痛みが皮膚の変色を引き起こします。
2週間の抗生物質の投与による入院で腫れは引きましたが、また再発。再発によって分かった病気は、足の血管にできた大きな血栓でした。
このまま放っておくと血栓が剥がれ落ちて、はがれた血栓が血流に乗って心臓や脳に飛び、心筋梗塞や脳梗塞を起こしてしまう可能性があります。
再び入院して、血栓を溶かす治療を行い、血栓はなくなりましたが、むくみは改善されませんでした。
そこで、三重大学医学部附属病院 総合診療科 竹村洋典先生の元を訪ね、本当の原因を探りました。
女性の場合は、両足にむくみはあるものの、痛みと皮膚の変色があるのは、左足だけでした。
先生は、女性の足を触診しました。女性の足は、皮膚が突っ張りうまくつまめませんでした。両足のふくらはぎに痛みが出るポイントがあることが分かりました。また、左足が熱を持っていることも判明しました。
これら診察から分かったこと
①むくみがゆっくりとした速度で進んだ
②両足にむくみがあり、皮膚がつまめないほど突っ張っている
③左足だけが変色し、熱を持っている
④むくみを起こす臓器の病気がない
上記の結果から、ある病気を疑った先生は、特殊な血液検査と超音波エコー検査、画像の検査を行い病気を特定しました。
検査の結果、女性のむくみの原因は3つありました。
①蜂窩織炎(ほうかしきえん)
②静脈不全
③リンパ浮腫
静脈不全は、立ち仕事や出産などが原因で静脈の弁が壊れ、血液がうっ滞し、血管から水分が漏れ、むくみを起こす病です。
静脈不全の場合、ふくらはぎの真ん中あたりを押したり揉んだりすると痛みが走ります。
この静脈不全の陰に「リンパ浮腫」が隠れていました。
リンパ浮腫は、血液の老廃物の一部を運ぶリンパ液が、静脈の流れが悪化することで、リンパ管の流れも悪化し、リンパ液が漏れだすと言う現象が起こります。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)が何度も繰り返し起きたのは、このリンパ浮腫が原因だと推測します。
リンパ液はたんぱく質が豊富で栄養があります。ばい菌をその栄養素が好むため、ばい菌を除去しきれなかったのではないかと言います。
静脈不全とリンパ浮腫を見分ける方法は、両足の皮膚をつまむとわかります。静脈不全だけなら皮膚はつまみやすいのですが、リンパ浮腫でむくんでいる場合は、つまみづらくなります。
また、超音波エコーやCT画像の撮影でリンパ管の流れを検査すると、リンパ管の流れが悪いことが確認できます。
女性の治療は、蜂窩織炎(ほうかしきえん)を抗生物質で治しながら、きちんとしたマッサージと、弾性ストッキングや包帯を巻いて、足に停滞している液体を戻すことだと言います。
女性の場合は、原因が1つではなく3つが絡まっていたのですね。