年々ひどくなる物忘れ。思わず若年性認知症では・・と心配になることもありますよね。物忘れと認知症の初期症状は、どう区別すればいいのでしょうか。実は、専門医でも診断に間違えることがあるようです。

認知症の原因には、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レピー小体型など、いくつかのタイプがありますが、進行を遅らせる事はできても、症状を改善するのは難しいと言われています。

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しかし、症状はアルツハイマー型認知症に似ていますが、治るタイプの物忘れの病気があります。

67歳の男性は、時々物忘れをするようになりました。心配になって病院へいき、脳のMRIをしたところ年齢に応じた脳の萎縮であり「加齢による物忘れ」で問題はないと診断されました。しかし、症状はどんどん悪くなるばかりでした。

そこで、物忘れの名医、旭川医科大学病院 精神科 千葉繁先生に診断をうけたところ、ようやく正しい病名がわかり、薬によって物忘れの症状を改善することができました。

千葉先生が着目したのは、患者に問診した時受け応えはしっかりしているのに物忘れが起こっていること。また、身体の変化を聞いた時、口の中で嫌な臭いがしたことがある・・と答えたこと。そこで、1週間の入院で経過観察することになりました。

入院して2日目に、その原因となる病気が発症しました。それは、夜中寝ているときに「てんかん」を起こしたのです。

てんかんは、脳の神経細胞が過剰に興奮し、異常な信号が全身に送られ発作的な症状が現れる病気です。全身の筋肉が激しく収縮し、けいれんなどの症状が起こります。てんかんは、これまでは子供や比較的若い年代に発症する事が多いと思われてきましたが、近年60代以上になって初めて発症する「高齢発症てんかん」が増えているそうです。

原因は、加齢や動脈硬化により、脳の血流が乱れ抑制細胞の働きが低下し、てんかんを起こしていると考えられています。一般的なてんかんは、けいれんなどが特長ですが、高齢発症てんかんでは、発作的な物忘れをおこすそうです。

●高齢発症てんかんの特徴
①物忘れが一時的なもの
②口の中に嫌な臭いが拡がる

口の中の嫌な臭いは、味覚や嗅覚に関わる側頭葉に異常が発生したことによる症状です。高齢発症てんかんの患者数は、10万人にいると推定されています。加齢による認知症の中にもいると推測されるため実際は、もっと多いと考えられています。

高齢発症てんかんは、脳波異常を防ぐ抗てんかん薬が良く効くので、早期発見し治療すれば症状を抑えられます。

●高齢発症てんかんの早期発見法
物忘れ
+口や喉の異変
+嫌な臭いがする
+突然起こる胸の不快感
+突然起こる不安感

突然起こる胸の不快感は、吐き気、心臓を掴まれる感じ、空気がこみ上がる感じなど、経験をしたことのない不安な感じだそうです。