比較的、スリムな体形の多いと言われてきた日本人も今や2200万人がメタボリックシンドロームと言われているそうです。

特に、中年以降になると、お腹まわりに脂肪がたっぷり。ダイエットしたり、揉み出したりしてもなかなか落ちませんよね。

身体から脂肪がなくなったら、どんなにスッキリするか・・なんて思っていましたら、脂肪にも2種類あり、なんと「やせる脂肪」というのがあるそうです。

脂肪を燃焼して熱を出す「褐色脂肪細胞」

研究しているのは、北海道大学名誉教授 斉藤昌之先生。今、世界の肥満研究家からもっとも注目されている人物です。

脂肪には、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞があります。「白色脂肪細胞」は、主に余分なエレルギーを貯める役目があり、皮下や内臓に溜め込まれます。

もうひとつの「褐色脂肪細胞」は、鎖骨や胸の周りにあり、脂肪を燃焼して熱を出す役目があるそうです。

褐色脂肪細胞は、胎児や冬眠中の動物が身体を動かせないとき、身体を温めるヒーターの役目として機能する細胞です。

この褐色脂肪細胞により、体温を冷やさず命を守ることができるのです。

冬眠する動物にはたくさん残っているのですが、人の場合には、成人すると、ほとんど存在しないとされてきました。

斉藤先生は、褐色細胞が成人にも存在することを世界で初めて実証した人物なのです。

斉藤先生は、マウスを寒い環境下にさらすと活性化することを発見しました。

自分と若い女性研究者の身体を冷やして、PET-CTをかけたところ、女性の身体の中の、褐色脂肪が活性化され、赤く映しだされていたそうです。

それは、成人にも褐色脂肪が存在することを証明するものであり、その発見は、世界中の肥満研究者から、絶賛されました。

通常の状態では、この褐色細胞は眠っていて機能しません。しかし、活性化すれば、肥満解消に大きく役だちます。

斉藤先生の理論では、ヒト褐色細胞を活性化させると、年間3.8kgの脂肪を減らすことができるそうです。

褐色細胞を活性化するには

活性化するためにはどうすればいいか・・、先生はいくつかの食物に、活性化する効果があることをつきとめました。

【褐色細胞を活性化する方法】
・唐辛子、ショウガ、わさび、カラシなどを食べる
・カテキンを飲み続ける・・褐色脂肪細胞が2倍に増加する
・よく噛む・・ノルアドレナリンがでて、褐色脂肪細胞が刺激され痩せる
・寒冷刺激を加える・・冬場のランニング、夏場の水泳

17℃で2時間過ごす体験を6週間連続で体験させたところ700gの体脂肪が減少したというデータもあるそうです。

先生が、この褐色脂肪細胞の研究を初めてから30年。その間、何度もやめようと思いましたが、恩師の『守愚(しゅぐ)』という言葉を守り、頑張ってこれたそうです。

守愚とは、 『愚直に一つのことを追い続けていれば、必ず結果は出る―』という格言です。

「10年、20年で諦めてはダメ、30年間かけて、ようやく一つのことを突き詰めた・・」それを守り続けてこれたのは、恩師 愛媛大学生化学者だった須田正己先生のお陰と語ります。

斉藤先生は、今、食事と生活習慣を組み合わせた「やせる脂肪活性化法」の研究を続けています。

それが実現できれば、病気で運動できない人でもダイエットすることができるようになり、生活習慣病を減らすこともできます。

先生の研究は、今肥満に悩む世界中の人たちから、大きな期待が寄せられています。