ついつい気軽に飲んでしまう市販薬。ところが最近、この市販薬で重篤化したり、最悪の場合死亡するケースが増えているそうです。
クローズアップ現代では、なぜ市販薬で死亡してしまうのか?市販薬の意外な副作用に迫り、重篤化を防ぐ方法を教えてくれました。
市販薬の以外な副作用 SJS
番組では、風邪薬を飲んだあと、皮膚がただれ、そのただれが全身に広がり、重篤な状態に陥った女性が紹介されました。
その後、肺にまで炎症が広がり、呼吸困難に陥り生死の境をさまよいました。しかし、懸命な治療によってかろうじて一命を取り留めました。
このようなことが起こるのは、一種のアレルギー反応だと考えられています。薬を飲んだとき、その成分に体の免疫機能が過剰に反応してしまうからです。
健康な皮膚や粘膜の細胞が、異物と見なされ攻撃された場合、SJS(スティーブンス・ジョンソン症候群)を発症します。
一方、この症状が肺に現れると、間質性肺炎を起こします。肝臓に現れると、黄疸などの症状がでる薬物性肝障害が起こります。このような症状が重くなると死に至る場合があります。
現在のところ、風邪薬が原因で死亡したと報告されたのは、24件。幼児から高齢者まで、年齢は幅広く及んでいます。
番組で紹介された女性。一命は取り留めたものの、眼の後遺症に悩まされ、今でも月の治療代は2万円を超えると言います。
彼女の場合、薬による発症と国から認められましたが、救済制度によって支給されたのは、発生当初の医療費の66万円に限られたそうです。
SJS(スティーブンス・ジョンソン症候群)の症状
SJS(スティーブンス・ジョンソン症候群)になると、症状が次から次へと現れ、やけどを負った状態になり、皮膚が全部むけてしまうTENと言われる症状を引き起こします。
SJS(スティーブンス・ジョンソン症候群)で亡くなられる方もいますが、TEN(中毒性表皮壊死症)になるともっと死亡率は高くなります。
アレルギーと言うと、花粉症を思い浮かべる人も多いかと思いますが、花粉症を起こすアレルギーとSJSを起こすアレルギーはちょっと
メカニズムが違うので必ずしもアレルギーがあるからといってSJSを起こすわけではないそうです。
薬やサプリメントには、重篤な副作用を起こす可能性があると言うことを覚えておいて、何がいつもと違う症状が起こった場合、すぐに対応すれば重篤化は防げるようです。
例えば、目に副作用が出た場合、初期であればステロイド点眼薬でアレルギーを抑えることができます。
発症から1週間以内にステロイド点眼薬を用いた場合、7割り以上の人が視力0.1以上を保つことができたそうです。しかし、そうでない場合、8割の人が、視力が0.1未満に悪化したと言う結果が出ています。
つまり、治療の開始が早ければ早いほど、その効果が期待される傾向があることがわかっています。
しかし、重篤化がなくならないのは、初診の段階で4割以上が誤診され、早期治療の機会を逃しているからだそうです。こうなると、患者としてはどうして良いかわかりませんね。
最近では、副作用を起こしやすい体質があることがわかってきました。SJSの場合、発症との関連が明らかになったのは、免疫に関係する二つの遺伝子、HLA-AとTLR3です。
この二つの遺伝子が特定の型になっている人は、そうでない人に比べ48倍もSJSを発症しやすくなることが最近分かりました。
この遺伝子レベルの研究で、将来的には、副作用の予防につながることが期待されています。自分がこの型の遺伝子であれば、何か起こったときにすぐに対応することもできますね。