料理は、ちょっとした材料を加えるだけで旨味が増したり、調理する順序を変えただけで味覚が変わったりします。料理の世界は本当に奥深く、まだまだ知らないことがたくさんありますよね。

実は、ある材料を加えると、食材に大きな変化が起こる魔法の白い粉があるそうです。その白い粉とは、誰もが知っている「重曹」です。重曹を加えると、食材に次のような不思議な現象がおこります。
・スルメが生イカになる
・即席ラーメンが生麺になってしまう

生イカ

スルメを生イカに戻す方法は、昔から知られていて、松前漬けをつくるときに重曹でなく灰汁を使っていました。灰は、藁や木を燃やしてできる燃えカスで主成分は炭酸カリウムでアルカリ性の性質があります。

アルカリ水は、水分が抜けタンパク質が固まったものを引き剥がし、水分が中まで浸透させる効果があります。これを「アルカリ膨潤」といいます。重曹の成分は炭酸水素ナトリウムで、水に溶かすと水素がとけだし灰汁と同じ炭酸ナトリウムになります。そのため重曹水にスルメをつけておくと、スルメの中に入り込み、水分を復活させプリプリの生イカに変身するのです。

乾燥させてものに対しては、同じ効果があるため、即席ラーメーンの麺を生麺に戻したり、インスタントコーヒーを挽きたてに、蘇らせることができるのです。

実は、スパゲティの麺を重曹の水で戻すと、中華麺に変身してしまいます。中華麺づくりにはカンスイが必要で、重曹水がカンスイとなりスパゲティを中華麺に変えてくれるのです。

ヨーロッパでどうしてもラーメン食べたくなったときは、この方法で中華麺をつくるといいそうですよ。

重曹を使うときの注意点としては、食用を使うこと。また、アルカリ性が強いためアルミの鍋などを溶かしてしまうので、耐熱ガラス容器を使うと安心です。

昔から灰汁は、植物の繊維を柔らかくしたり、苦み、えぐ味を抜いたり、洗剤や漂白剤の変わり使われていましたが、昔の人の知恵って本当にスゴイですよね。

試してガッテンでは、重曹を使った料理法や、水で使っての裏ワザを紹介してました。

水の裏ワザと重曹の威力

●インスタントコーヒーを引き立ての旨さにする方法

①インスタントコーヒーをカップに入れる
②ティースプーン1杯の水を少し加え練りつぶすように粉を溶く
③それからお湯を入れる

水で練ることでコーヒーの粉末がダマになるのを防ぎます。そのため、粉がお湯によく溶けるようになり、おいしく味がまろやかになります。この水練り技は、デンプンを含むインスタント粉末すべてに応用可能です。

●即席ラーメンを生麺にしてしまう方法

①お湯に重曹を小さじ半分を加える
②即席麺を入れて3分ゆでる
(ゆで時間はお好みで調整してください)
③ゆで汁を捨てて、別のお湯でスープを作って完成

この方法は、うどんやスパゲティでも同様で、なんと重曹を加えるとラーメンの麺になってしまいます。

●スルメを生イカに戻す方法

①1リットルの水に大さじ1を加えて重曹水をつくる
②数時間から1晩つけておく。
とっても美味しい生イカに戻ります。
※漬けておいた重曹の水は、使わないでください。

なまこ、さきイカでも同じようにプリプリに戻ります。戻したことで、独自の味わいがでてきます。

●乾パンおはぎの作り方

①乾パンを手でこわす
②乾パンを水に15分ひたす(やわらかくなります)
③もち米を1対1に加えます。
④あんを絡めてできあがり

これは、自衛隊の料理法だそうです。乾パンドーナツや、乾パン肉団子も美味しいそうですよ。