過敏性腸症候群はストレスの大きく影響しており、ストレスは脳から大腸に伝わり大腸の運動に影響を与えます。

下痢の場合には、大腸の収縮が早く便の水分が吸収されない状態、便秘の場合には、大腸の収縮がうまく機能せず便がうまく運ばれないため水分が吸収され固くなってしまう状態です。
*         *
Q 毎日うさぎのようなコロコロした便がでてますが大丈夫ですか?
A 水分がない便で、長い期間同じ状態なので、あまり問題がないと思う。

Q ストレスが原因の過敏性腸症候群はきっちりやる性格のせい?
A 時間に余裕をもって生活するとは、楽しいこと、リラクゼーションを積極的に行うことが重要です。

ストレスの解消には、ある目的をもって散歩をする有目的散歩療法は新しいことの発見、リラクゼーション、運動ができるのでおすすめです。

●漢方でストレスを解消するには・・

気のめぐりをよくする漢方をすすめます。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)・・ストレスで喉が詰まった感じがする方
香蘇散(こうそさん)・・・疲れてぐったりしちゃう方
抑肝散(よくかんさん)・・・気がたかぶるのを抑えたい方
四逆散(しぎゃくさん)・・・体力のある方のストレスを抑える
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)・・・体力の弱い人向け

Q 下痢やおならが気になる 外出や電車にのるのもいや
A そういった状況を避けるとより悪くなるので、避けないで行動しながら改善していくほうがいいです。

●医療機関でのストレス対策


抗うつ薬・・不安を抑え腹痛にもききます
抗不安薬・・不安が高い場合、1ヶ月を限度に処方します
心理療法
リラックス法・・自律訓練法 呼吸法 筋弛緩法
認知行動療法・・刺激と症状と行動の関係性を調べ関連を変えていく

Q 下痢になると数分で我慢できなくなる。すぐにきく薬はないか?

A セロトニン3受容体拮抗薬が効果が高いので、出かける前に飲んでおくか、旅行に行く時持っていくといい。

Q セロトニン3受容体拮抗薬は女性にも使えるのか?

A 日本では男性に有効性があるということになっているが、外国では女性にも使っています。現在、日本でも検証してますので、やがて女性にも使えるようになります。

Q 便秘と下痢を繰り返している。どんな治療がいいか?

A 過敏性腸症候群は、どちらも同じ原因で同一の人になることもあります。その方には高分子重合体の薬が有効です。

*         *

●過敏性腸症候群の新しい情報
新たな原因とされているのが、感染性腸炎と腸内細菌です。

感染性腸炎
感染性腸炎とは、細菌やウイルス、寄生虫や微生物が原因で腸炎を起こす病気です。カンピロバクター、サルモレラ菌、赤痢菌などの感染症にかかり、治療により治った後、炎症がわずかに続いて、1~2割の方が過敏性腸症候群になっている。

腸内細菌

人の腸の中には、約500種類、100兆個の細菌が住み着いています。「善玉菌」「悪玉菌」がいてバランスをとっているときはいいのですが、このバランスが崩れるといろいろな症状を発症します。乳酸菌、ビフィズス菌などがいいです。

Q 乳酸菌、ビフィズス菌を効率よく摂取するには?

A 胃の酸によりかなり死滅してしまうので、食事のすぐあとになど、酸が弱まっているときにとったほうがいいです。

●腸内細菌のバランスをよくする漢方

漢方には糖が入っておおり、この糖により善玉菌が増える。腸内細菌のバランスがよくなると、漢方薬のききもよくなります。大黄(たいおう)を根気よく飲んでいると、善玉菌が増えてきます。甘草(かんぞう)腸内細菌を助ける代表的な漢方です。
*         *
●大腸と脳の関係
東北大学 福士審さん

過敏性腸症候群の患者さんの脳を調べたところ、普通の人より前頭前野がより大きく反応することがわかってきました。プローブというものを使って脳の部分に磁気で刺激を与えると、

TMS(経頭蓋磁気刺激法)により前頭前野を刺激すると大腸の不安を和らげることがわかってきました。

まだ研究段階ですが、大変期待されている治療法だということです。

下痢、便秘情報は、過敏性腸症候群の治療で下痢や便秘を改善 にもあります。