私たちが今、一番恐れるている病気、認知症。

病気だとわかっていても、家族や周囲に対する影響を考えると、自分だけはなんとか避けたいと誰もが思います。

これまで、認知症の決定的な予防法や治療法はありませんでしたが、最新の研究により、かなりの効果を上げることができるようになってきました。

予防については、認知症の初期である軽度認知障害(MCI)の段階で対策を行うと、発症を予防することができる可能性があるそうです。

問題は、認知の初期段階を、どのように発見するかです。

加齢による物忘れ等もあるので認知症と区別がつかず、どうしても発見が遅れがちになります。

どうしたら初期段階で見つけることができるか・・、その有効的な方法として「歩き方」で見分けることができるといいます。

歩きかた

認知症がおこり始めると、歩き方に特徴的な傾向が見られるそうです。また、歩き方を改善することで、発症を予防することができることもわかってきました。

今、認知症は、予防や治療できる一歩手前まできているといいます。

11月14日 NHKペシャルでは、『認知症は予防できる』として、認知症の予防や治療の最前線の情報と、脳が回復する歩き方について紹介しました。

認知症予防の決め手はMCIの早期発見

認知症は突然なるのではなく、数年かかけ徐々に脳機能が落ちてきます。その中間の状態にあるのが、MCI「軽度認知障害」と呼ばれる段階です。

この段階のときに発見し、治療対応することにより、約1割の人は正常状態に回復、約4割の人が症状を改善することができるそうです。

MCIと認知症の見分け方は、MCIの場合は年相応の記憶障害、認知症になると生活に支障がでるほどの記憶障害だといいます。

認知症は、脳の神経細胞や血管に異常が起きたり、微小血管が出血し、神経細胞に栄養が行かず死滅してしまい、脳内ネットワークが働かなくなっておこります。

しかし、切れてしまった微小血管や神経細胞でも、回復できることがわかってきました。

MCIの早期発見

人は行動するときに、脳の中の複数の場所が同時に動きます。その連絡に脳内ネットワークが関与しています。

MCI(軽度認知症)の人は、脳内ネットワークに異変がおきているため、歩き方にも異変がでてきます。

つまり、歩き方をチェックすれは、MCI(軽度認知症)かどうかを判断することができるのです。

人は歩くときに、視覚、筋肉、バランス、判断など、たくさんの処理を同時に行うことで実現しています。

MCIになると、脳内ネットワークが弱くなってしまうため、複数の情報を処理しきれなってしまうため、歩く速度が遅くなるのだそうです。

その目安となるのは、歩く速度、秒速80cm(時速2.9km)です。

膝などの異常がないのに、歩行スピードが遅くなった人は、脳内ネットワークに異常がある可能性があります。

今まで渡れていた横断歩道が渡りきれなくなった人は、MCIの可能性があるので注意が必要です。

MCIの人に見られる兆候
①外出するのが面倒
②外出時の服装に気を使わなくなった
③同じことを何回も話すことが増えたと言われる
④小銭での計算が面倒で、お札で払うようになった
⑤手の込んだ料理を作らなくなった
⑥味付けが変わったと言われる
⑦車をこすることが増えた

3つ以上当てはまる場合には、専門の(物忘れ外来など)を訪ねてみてください。

MCI軽度認知症から回復させる方法

MCIを改善する、いくつかの有効な方法がわかってきました。最も簡単にできるのは、早歩きです。

米国の研究では、息がはずむ程度の早歩きを1日1時間、週3回すると、脳内ネットワークが修復されることが確認できたそうです。

MCIを改善するライフスタイル
・運動・・早歩きなどの有酸素運動1日30分程度
・食事・・塩分、脂肪を控える、野菜、魚を増やす
・トレーニング・・筋肉トレーニング、記憶力のゲームなど
・健康管理・・血圧の管理、健康診断、健康相談

運動は強さに強弱をつける、脈数は120程度に上げる(少しドキドキする程度)、これを1日10分を3回以上行うと効果が上がるそうです。

もっとも簡単にできるのは、「ちょい足しウォーキング」。歩幅を5cm広げ大股で歩くように心がける、これだけでもかなり効果があります。

認知症の予防薬

認知症改善に効果がある薬がわかってきました。一つは「レベチラセタム」という、てんかんの治療薬です。

米国では2016年に最終の臨床試験を開始し、2019年に実用化の見込みだそうです。

日本では、シロスタゾールという脳梗塞再発防止の薬の臨床試験が2015年の夏に始まりました。2012年での実用化を目指しているそうです。
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認知症予防に効果のある、早歩きウーキング。これなら毎日、手軽にできそうですね。

今まで車や自転車で移動していたのを歩行に変えるだけで、1日の歩数はグーンとアップします。

健康管理、脳機能の維持にもなりますから、「ちょい足し早歩きウォーキング」で頑張りたいですね。