だれもが恐れる病気でありながら、未だ根本的な治療法がない認知症。

でも、治すことはできませんが、早期発見、早期治療すれば、進行を遅らせることができます。

実は、治療すれば劇的に改善する認知症もあるそうです。それは「特発性正常圧水頭症」と「慢性硬膜下血腫」が原因で起こっている認知症です。

老夫婦

特発性正常圧水頭症は、脳と脊髄を守っている脳脊髄液が増えすぎてしまい、脳を圧迫してしまう病気です。

慢性硬膜下血腫は、頭をぶつけて頭蓋骨の内側に血液と脳脊髄液の塊ができてしまう病気です。

双方とも、脳を圧迫し認知症と同じ症状が現れますが、それぞれの原因を取り去ることで驚くほど症状が改善します。

症状は、物忘れの症状のほか、歩幅が小さくなり、ちょこちょこのすり足歩きのような、特異な歩き方をします。

このような病気は早期発見が決めてですが、いつもと違うことを最初に気づくのは、夫婦だといいます。

奥さんの発見により、認知症を克服した夫婦を取材し、早期発見する方法を教えてくれました。

治る認知症の早期発見法

治ることのないと言われてきた認知症の中で、実は5%に治るタイプの認知症の人がいるそうです。

山崎和男さん(79)妻和子さん(75)夫婦は、夫の認知症を、妻が治る認知症であることを見抜き改善しました。

夫に次々と起こる認知症の症状に、和子さんは心配になり病院で脳検査を受けました。

検査の結果は、若干の脳の萎縮はあるものの、認知症ではなく加齢によるものとの診断でした。

しかし、ずり足、もの忘れ、尿のもらしと、夫の症状はどんどん悪化していきます。

和子さんは夫の様子を冷静に観察していたところ、新聞にでていた「治る認知症」の症状と同じであることに気が付きます。

早速、新聞にのっていた東京共済病院の脳神経外科を受診し、突発性正常圧水頭症の診断を受けました。

突発性正常圧水頭症は、脳髄が脳室等に溜まる病気で脳を圧迫してしまうため、様々な病気がおこります。

通常は、脳髄は静脈に自然に吸収されるのですが、何らかの理由で吸収されなくなり、脳室にたまり脳を圧迫するため、前頭葉の機能が低下して認知症と同じような症状を起こします。

その結果、歩行機能障害、認知機能低下、排尿機能低下を起こすようになります。

突発性正常圧水頭症の疑いのある患者数は、約31万人いると言われています。

しかし、加齢によっても脳は萎縮するため、MRI検査でも見分けづらく、見過ごされているケースがあるといいます。

突発性正常圧水頭症には特徴的な3つの症状があるので、夫婦間でチェックすることにより、その疑いを確認することができます。

突発性正常圧水頭症の早期発見ポイント

①特徴的歩き方
すり足、小刻み歩行、開脚歩行の特徴的な歩き方。つまずきやすくなった、ずるずる音がする、歩く速度が遅くなる一歩目がでにくい、以前と比べガニ股などの症状です。

②物忘れ
以前に比べ頻繁に起こる

③尿トラブル
生活に支障がでてきた

この3つの症状が揃ってでるのは、突発性正常圧水頭症の50%です。歩き方を基準にして、②か③どちらかが当てはまるようなら専門医の診断を受けてください。

脳神経外科、神経内科、物忘れ外来などが窓口だそうです。手術で脳髄を逃がすことにより、症状は劇的に改善します。