現在認知症の高齢者は462万人、予備軍を入れると、なんと800万人と言われているそうです。

認知症の介護は、普通の介護と違い、介護する家族を精神的にも肉体的にも、とことんまで追い詰めてしまいます。

そんな話しをよそに、2013年、国は自宅で介護するための認知症施策の5か年計画「オレンジプラン」をスタートさせました。

認知症の在宅介護の厳しい現実と、非現実的な国の施策に対して様々なところで論議されていますが、国はいったいどのように考え対処しようとしているのでしょうか。

お母さんが認知症を発症し、旅立つまでの3000日間を、NHK元ディレクター相田洋さん(77)が、撮影し記録しました。

ディレクターと息子という2つの立場から通して語られる、認知症在宅介護の現実から見えるもの、感じられるものはいったい何なのでしょうか。

ディレクター相田さんとNHKさんに感謝しつつ、自分の老後を照らし合わせながら見させていただきたいと思います。

相田さんのお母さんは、1976年にお父さんが他界して22年間、3人の息子とは別にひとりで住んでいたそうです。

認知症に気が付いたのが、1998年。それから5年間、99歳の白寿で旅立たれるまでの、愛情いっぱいの記録でした。

時には嘆きながら、イライラしながらも明るく、面倒を看る相田さんも、やがて排便の問題に悩まされます。

「人間は、記憶が定かでなくなり、立てなくなり、食べれなくなり、そうやってこの世を去っていくんだ・・」それを全部見せてくれた母の姿は、自分にとって最大のプレゼントだと語ります。

「私はこうだったけど、アンタのときは、どうかねっ・・」。自分がそうなったとき、天国の母からそんなことを言われそう・・と笑っていらしゃいました。

「人が生きて、死ぬということ」。愛情いっぱいの母と息子の看病記録から、いろいろなことを教えてもらいました。