私は、最近、咳と微熱が続いており、花粉症?それとも風邪?って悩んでいるのですが・・、こういう症状に悩んでいる人って結構多いですよね。

今回の患者さんも同じように、原因不明の咳と熱に悩まされているようです。

謎のせきと発熱の意外な正体

高齢となった義母と同居することになったので、古いけど広めの中古住宅を購入し、引っ越した42歳の主婦。

引越してから原因不明の咳と熱に、悩まされるようになります。

はじめは風邪かな・・と思って様子をみていると、やがて改善するのですが、すぐにまた咳と熱がでてきます。

ハウスダスト・・、疲れ・・、ストレス・・など、原因となることが、次々と頭をよぎりますが、原因がはっきりしません。

クリーニング屋のパートもあることから身体をだましながら、なんとか頑張ってきましたが、やがて立ち上がれないほどになってしまいました。

●問診データ
最初に熱がでたのが引っ越し前の夏。その後、毎月のように、熱と咳がでたりしてました。

その間隔は、引っ越してから狭くなり、体重も今年に入ってから、4kg減りました。寝ている間に寝汗をかくことがあります。

入院中の検査では、胸部・腹部のCT検査、血液検査は異常なし。一度退院しましたが、4日後にまた熱がでて再入院しました。

宮本智子(42歳)の基礎データ
・体温 39.0℃血圧 138/72
・脈拍 98/回
・呼吸数 20回/分
・SpO2 94%

ミスター総合診断医 名古屋大学医学部 鈴木富雄先生が病名解明へと研修医を導いてくれます。

ファーストカンファレンス

3人の研修医の診断は、過敏性肺臓炎。過敏性肺臓炎は、カビやペットの毛など特定の物質を、吸い込むことで起こるアレルギー性の肺炎です。

しかし、いつも起きずに間隔をおいて発病していることからこれは、考えにくいと判断されました。

セカンドカンファレンス

悪性リンパ腫・・リンパ球がガン化し異常に増え続ける
ホジキンリンパ腫・・数日単位で熱が上がったり下がったりを繰り返す
多発性血管炎性肉芽種・・鼻、目、上気道、肺にある細い血管が炎症を起こす。

着目点は、熱の間隔がどんどん狭くなってきていること。つまり、病気がどんどん進行していることを意味します。

胸部レントゲンには影がないのに、spO2は94%(低酸素)と低いことから、呼吸器系の問題であると絞りこまれました。

問題点を整理したところ
①ガス交換がうまくいってない
②肺に影はない
③呼吸音の雑音もない
ことから、肺の血流を詰まらせる病気と絞り込まれました。

最終診断・・血管内リンパ腫

悪性リンパ腫の一つで、ガン化し増え続けたリンパ球が細い血管内にとどまり血流を妨げるます。その結果、肺や腎臓、ひ臓などの機能が低下します。

●治療法
治療は、新しい抗癌剤の開発により、多くの患者さんが普通の生活を取り戻しているそうです。