ピロリ菌とは、胃の中に住みつく細菌のことで、50歳以上では約8割が感染し、全国では、約6000万の人がピロリ菌に感染しています。

つい数年前までは、ピロリ菌は常菌で、除菌する必要はないとされていましたが、2009年の日本ヘリコバクター協会は、そのガイドラインを改訂し、疾患が併発していない場合でも予防医学の観点から原則として感染者全員が治療の対象となりうると発表しました。

何故、ガイドラインが変更されたのでしょうか?それは、ピロリ菌は、胃炎や胃潰瘍の原因ですが、さらに胃がんの元凶となることが分かったからです。

ピロリ菌の保菌者は、ピロリ菌がいない人に比べ、胃がんになる確率は5倍。また、胃がん患者におけるピロリ菌の感染率は、なんと94%と言う高い数値が出ています。

ピロリ菌は、自らアルカリ性の「アンモニア」を作って体にまとい胃酸から身を守りながら胃の中を動き回り、さらにピロリ菌は身体を粘膜に突っ込み、粘膜に毒素を注入し、胃炎を引き起こします。

これが繰り返されることで、粘膜の修復力が弱まり、やがて粘膜に穴が開き、胃潰瘍となります。

胃潰瘍は、何度も再発を繰り返しますが、これはピロリ菌を除菌せずに放っておいたのが原因です。

さらに怖いのが、ピロリ菌が出す「CagA」と言う毒素が癌になる性質を持つ「がん幹細胞」に入ると、毒素が蓄積し胃がんを発症するとわかってきました。

また、ピロリ菌が多く、弱った胃には、ガン幹細胞が多く、胃がんの発症率はさらに高まります。

WHO(世界保健機構)では、ピロリ菌を、肺がんを発病する「アスベスト」と同じレベルの第一級発がん因子に認定しています。ピロリ菌に感染している約8割の人が癌になる可能性があると言われています。本当に怖いですね。

Q: ピロリ菌は何歳までに感染しやすいか?
A: 5歳 (現在は、親の口写しによる食べ物が原因の場合が多い)

Q: 感染経路
A: 食べ物、飲み物

50歳以上の人は、上下水道の設備が整っていない時代に飲み物や食べ物から感染したと考えられます。

ピロリ菌の検査方法です。

尿素呼気試験
1.鼻から吸って10秒間息を止め、呼気採取パックに息を吹き込みます。
2.尿素の入った錠剤を水100mlと一緒に噛まずに服用します。
3.胃にとどめておくために、5分間ほど左側を下にして横になります。
4.さらに、15分間座って待機した後、再度、呼気採取パックに息を
吹き込みます。

迅速ウレアーゼ試験
1.胃カメラで胃の内側を診断
2.ピロリ菌は、自分が荒らした場所には居すわらないので、まだきれいな胃壁からピロリ菌を探します。
3.生検鉗子で胃の組織を採取します。
4.すぐに、検査薬に入れ、検査薬の色の変化でピロリ菌の有無を調べます。

他には、便として排出されるピロリ菌の有無を調べる「便中抗原検査」と、血液を採取しピロリ菌の抗体の有無を調べる「抗体検査」などがあります。

数値が大きいほど、ピロリ菌の数も多いようです。ピロリ菌の駆除方法は、2種類の抗菌薬と胃酸の分泌を抑える阻害薬を1週間服用します。

1回目の除菌での成功率は、7、8割です。2、3割の方が一発では除菌できないので、2、3か月後もう一度検査をします。

ピロリ菌を抑制する食材を積極的に摂るのもよいですね。もずくやわかめ、昆布など海藻に含まれるぬめり成分フコイダン。フコイダンは、胃の粘膜と同じ成分を含んでいるためピロリ菌が胃粘膜と勘違いし付着。そのまま体外に排出されるのでピロリ菌を減少させることができます。

また、ブロッコリースプラウトも効果があります。ブロッコリーの新芽には、抗酸化作用がある「スルフォラファン」と言う成分が豊富で、ピロリ菌に対する殺菌能力が認められています。

また、緑茶に含まれるカテキンにもピロリ菌の抑制効果があります。

ピロリ菌を抑制する食品、わかめ、もずく、昆布、緑茶、ブロッコリースプラウトなどは、積極的に摂りたいものです。