肥満や糖尿病、高血圧を抱える人にとって脳梗塞は、最も心配な病気です。

脳梗塞になれば、命を落とすこともあり、助かったとしても重い後遺症を残すこともあります。

しかし、脳梗塞を起こしても特効薬を使えば、脳のダメージを最小限に押さえることができます。

その特効薬とは「t-PA 血栓溶解薬アルテプラーゼ」です。

血の塊を溶かす薬で、「t-PA静注療法」により静脈から薬を入れ詰まった血栓を溶かし血流を復活させ、脳へのダメージを最小限に抑えてくれます。

でも、残念なことにその薬の使用率はたったの5%だそうです。その理由は、t-PAは、発症から4時間半という使用制限時間に治療を開始しなければならないからです。つまり、時間との勝負です。

しかし、脳梗塞を発症してから病院に運ばれるまでの平均時間は10時間だそうです。

理由① 人間は、自分が安全という方向に考えるため、とりあえず様子を見よう思いがちです。そのため、t-PAの使用できる時間を越えてしまいます。

理由② 脳梗塞の発症は、症状が小さい場合もあり症状が多種多様であるため、判断を見逃してしまいます。

つまり、脳梗塞かどうか自分でいい方向に考えたり、見極めが難しいため様子を見ている間にタイムアウトしてしまいます。

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そこで、脳梗塞かどうか誰でも簡単にわかるのがイギリスの救急隊の「ACT-FAST」判定法です。

「ACT-FAST」とは、顔(FACE)、腕(ARM)、言葉(SPEECH)をチェックし、その中の一つでも当てはまる場合には、脳梗塞と判断(Time)し即救急車を要請します。

イギリスでは、この見極め方をTVCMで流し、t-PAの使用できる患者数を飛躍的にアップさせることに成功しました。

この診断法は、世界中の救急隊が脳梗塞判断の基準にしている
精度の高いものだそうです。

「ACT-FAST」診断法

顔 
「いー」と言ってもらい、広角が片方の口しか上がらないときは異変と判断します。

腕 
両手の手のひらを上に向けて「前へならい」してもらい5つ数える間に片側が上がらないか、片腕が落ちてくるときは異変と判断します。

横になっている場合には、両手を胸にのせ5つ数える間に片側が落っこちたら異変と判断します

言葉 
「らりるれろ、ぱぴぷぺぽ」「今日はいいお天気です」などと言ってもらい、ろれつが回らない、言葉が不明瞭などは異変と判断します。

ガッテン流チェック法

朝起きたら、手のひらを上にして「今日はいい天気、心も晴れ晴れ」と言って家族、友人に判断してもらうといいでしょう。

この中で1つでも該当があれば、脳梗塞を起こしている可能性がありますので一刻も早く、救急車を要請してください。

また、脳梗塞の発症した時間(Time)を隊員に伝えてください。

若年性脳梗塞をチェック

年齢も若く高血圧もなく、原因も思い当たらないのに脳梗塞になるときがあります。

それは脳動脈乖離。血管の内側が剥がれて、小脳へいく血管を詰まらせてしまいます。

この症状は、高齢者より若い人がなりやすいそうです。

【小脳梗塞に特徴的な症状】
 ①めまい
 ②歩行障害
 ③吐き気
乖離が起きたとき、激痛が走ることも多いそうです。症状がでたら、すぐに救急車を呼んでください。

一過性脳虚血発作(TIA)で早期発見

脳梗塞には、前触れがあると言われています。ろれつが回らない、片腕が麻痺する、右目が見えにくくなるなどの症状が一時的に現れ、30分程度で消えてしまうのが特徴です。

TIAは小さな脳梗塞と言われていますが、高い確率で大きな脳梗塞が起こることが知られています。

この前触れを見逃さないことも、脳梗塞から命を守る秘訣ですね。