すい臓がんと聞くと、いいイメージを持たない人が多いのではないでしょうか。発見された時には、かなり進行していて手術が難しい場合が多いと言われてきました。

すい臓は、胃の後ろにある長さ20cm位の細長い臓器で、食物の消化を助けるすい液と、血糖値を調整するインスリンやグルカゴンなどの分泌する役目があります。

腹痛

すい臓がんの90%は、すい臓の中の膵管にできます。初期の段階では、胃のあたりや背中が重苦しさ、おなかの調子が悪いなどの、漠然とした自覚症状しかないため早期発見することが難しく、また進行が早いという特徴があります。

そのため、すい臓がんが発見された時は、手遅れの状態になっていることが多く、ガンの中でも特に厄介なガンとして知られています。

しかし、すい臓ガンでも、早期発見し早い段階で処置すれば完治させることができるようになってきました。

NHK Eテレの「チョイス」では、すい臓がんの早期発見チェック方法と治療のチョイスについて教えてくれました。

すい臓がんの早期発見法と治療のチョイス

すい臓ガンには、①早期発見が難しい、②転移しやすい、③再発しやすい、という厄介な特徴があります。

すい臓がんの5年生存率は、なんと7%だそうです。

●自覚症状としては

・みぞおち、背中の痛み
・黄疸
・糖尿病の発症、または悪化

などがありますが、骨折や、腰痛、だるさの原因がすい臓がんの転移だったとい例もあるそうです。

胃がんや大腸がんは直接内視鏡で検査することができますが、すい臓の場合には、身体の奥にあるため内視鏡で直接見ることもできず、発見がどうしても遅れてしまいます。

また、すい臓は臓器が小さく、いろいろな臓器の密着しておりさらに、血液やリンパなども多いため、ガンが周りに飛び出して転移しやすくなります。

治療法は、転移のない初期の段階では手術ができますが転移してしまうと抗がん剤による半年から1年の延命治療のみでした。

しかし、新しい治療法ができ、すい臓ガンを完治する人もでてきました。その新しい治療法は、術前化学放射線療法といいます。

●術前化学放射線療法

術前化学放射線療法とは、手術前に抗がん剤と放射線を行い目に見えない小さなガンを死滅させ、放射線でガンを小さくし転移のリスクを押さえます。

この治療に1ヶ月半。その後手術で、すい臓、胆のう、十二指腸を切除します。手術後にさらに、抗がん剤を半年間投与します。

この手術法は、転移のない人、体力のある人、十二指腸が弱ってない人などの条件があります。

費用は、駒込病院の場合、入院で180万~200万円ぐらいだそうです。すい臓ガンの専門の病院でないと、現在のところは無理だそうです。

実際、この療法ですい臓ガンを克服し、8年も経過している人を紹介していました。

●すい臓の異変を早期発見する

すい臓にできる膵嚢胞は、超音波検査で発見することができます。膵嚢胞の4割はガン化する可能性があるため、発見されたら、超音波内視鏡で精密検査を行います。

膵嚢胞を発見した段階で、精密検査すればすい臓がんに移行するかの予測がつき、半年毎の定期検査を実施すればガン化しても早期発見することができます。

●すい臓がんのリスクの高い人

・膵のう胞がある人
・家族がすい臓がんになった人
・糖尿病、慢性膵炎、喫煙のある人

すい臓ガンの専門医として、東京都駒込病院外科部長 本田五郎先生がアドバイスされていました。