治療の難しい病気に、血液のがんがあります。体を守る役目のリンパ球が、ガンに変異してしてしまう病気です。

悪性リンパ腫は、「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」という2つのタイプがあります。

「ホジキンリンパ腫」は、治療効果があり生存率も高いのですが、「非ホジキンリンパ腫」の方は、あまりよい治療結果が得られませんでした。

赤血球

残念なことに、日本人の悪性リンパ腫の約9割は、非ホジキンリンパ腫だそうです。

非ホジキンリンパ腫に治療効果がでない原因は、「がん幹細胞」にあるといわれています。

がん幹細胞とは、がんを生み出す種のような存在で、抗がん剤を投与しがんをやっつけても、がんを次々と再生する能力を備えているため効果がでないのです。

研究の結果、がん幹細胞には特殊な酵素があり、その酵素が抗がん剤からの攻撃を防御していることがわかってきました。その酵素があるため、抗癌剤が効かなかったのです。

国立がん研究センター研究所 の研究グループは、がん幹細胞の防御機能である酵素の特定に成功し、その酵素の働きを阻害することで、がん幹細胞を根絶するという研究成果を発表しました。

動物実験では、「急性骨髄性白血病」や「非ホジキンリンパ腫」に対する有効性が確認され、2016年3月、世界で初めて人での臨床試験(治験)をスタートさせました。

この薬の治療効果と安全性が確認されれば、がん幹細胞へダイレクトに攻撃ができるようになり、いろいろながん治療への道が開けることになります。

今回の臨床試験は、第Ⅰ相試験(フェーズ1)と呼ばれ、少数の患者さんで、投与量を段階的に増やしていき、薬の安全性と適切な投与量、投与方法を調べるというものです。

治験は、国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)にて実施するほか、他の施設での実施も準備を進めているそうです。

臨床試験について詳しい情報を知りたい方は、以下に問い合わせしてみてください。

国立研究開発法人国立がん研究センター
中央病院治験管理室 治験問い合わせ担当
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
TEL: 03-3542-2511(内線 5646)

(情報参照元:国立研究開発法人 国立がん研究センター プレスリリース )
「国立がん研究センター、東京大学、第一三共 新規分子標的薬を共同開発」
http://www.ncc.go.jp/jp/information/press_release_20160322.html