ぜんそくは気道に炎症が起きて狭くなって、空気が通りにくくなってしまう病気です。

炎症がおきると、気道はとても敏感になり、ハウスダストやタバコの煙など、ちょっとした刺激でも発作がおきてしまいます。

発作が起こると咳が止まらず、息をするたびにゼーゼー、ヒューヒューとなり、最悪の事態では、呼吸困難になり死の危険もある怖い病気です。

ぜんそく

治療には、短時間作用性吸入β2刺激薬や、経口ステロイド薬、抗コリン薬、テオフィリン薬などで炎症を鎮めます。

しかし、現在のところぜんそく完治の薬はなく、発作がおこらない状態を長期間継続させることを治療の目標にしているのです。

ぜんそくの手助けをしているタンパク質の存在

そんなぜんそくで悩む方に、朗報が飛び込んできました。

2016年9月、千葉大が、んそくなど難治性のアレルギー疾患発症の鍵となるタンパク質を発見し、発症のメカニズムを解明したことを発表しました。解明したのは、千葉大免疫学の中山俊憲教授のチームです。

ぜんそくは、気管支に炎症がおきておこりますが、その炎症の原因は、アレルギー反応を起こした病原性免疫細胞が血管の外にでてしまうため起こっていることが既にわかってました。

しかし、なぜ免疫細胞が血管の外にでてしまうのかがわからず、そのため根本的な治療法が確立されてませんでした。

中山教授のチームは、この免疫細胞が外にでる仕組みを解明したのです。原因は、血小板から放出される(Myl9/12分子)というタンパク質にありました。

アレルギー反応が起こると、(Myl9/12分子)が放出され、血管の内壁に付着し、このタンパク質(Myl9/12分子)が免疫細胞が血管の外側にでる手助けをしていたのです。

(Myl9/12分子)の働きを止める抗体をつくり、動物実験でマウスに投与したところ、免疫細胞が血管の外にでず、ぜんそくがおきなかったそうです。

つまり、この抗体は、喘息などの「難治性呼吸疾患」の画期的な治療薬となる可能性があるということです。

現在、千葉大では企業と共同開発で人へ投与が可能な抗体をつくっており、人への治療薬の完成めざして研究中だそうです。

治らないとされていた「ぜんそく」一刻も早く完成してくれると良いですね・・・。ぜんそくで悩む子供さんを見ると、ほんとうに心が痛くなります。

資料参考:国立大学法人 千葉大学
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 ニュースリリース
ttp://www.chiba-u.ac.jp/general/publicity/press/files/2016/20160917.pdf