中高年になると、脳疾患により多くの人が命を落としています。仮に命をとりとめたとしても、後遺症に悩まされることになります。

いくら手術によって命が助かったとしても、 その後の生活ができるかどうかは、手術以上に大きな問題です。

酒向正春先生(さこうまさはる)先生は、脳卒中のリハビリの限界に挑みます。
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酒向先生は1961年愛媛県生まれの52歳。愛媛大学卒業して脳神経外科の専門医として活躍していました。
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しかし、手術により一命を取り止めたとしても、重い後遺症に悩みながら生きる多くの患者を見続けてきました。

その姿を見て、なんとか生活を取り戻してあげたいと43歳の時、脳卒中のリハビリの世界に飛び込みました。

酒向さんは、自分自身が中学1年のとき交通事故にあい、人を回復させる素晴らしさから医師なることを決意したそうです。

しかし、脳外科医になって限界を感じるようになります。脳を手術して命を助けたはずなのに、手術を終えた患者を毎日回診しても、ひとつも良くならない。

脳の手術を命をとりとめた男性は強い後遺症が残り、妻はベットの横で毎日泣き続けていた・・。その光景が頭から離れなかったと言います。

酒向先生は、損傷した脳に残された可能性を 脳画像の中から見つけ出し、その可能性を引き出すための 計画をつくりスタッフに明確な目標を設定し、具体的に指示します。

リハビリは時間との闘い、回復するための時間は発症から6ヶ月。そのため患者は入院したその日からリハビリを開始します。

リハビリは、どんなに重症の患者であっても、 早い段階から積極的に体を動かしていく「攻め」の治療です。

そんな先生の元に、脳梗塞の重い後遺症に悩む61歳の男性が入院してきました。

彼の症状は、立つことも、話すことも、食べることもできない重症の状態です。

しかし、彼は、娘さんの待つ家族の元に帰りたいと酒向先生の指導のもと、過酷なリハビリに挑戦。

単に命をつなぐだけでなく、人間として回復するために彼のリハビリに励む姿に密着します。
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酒向先生は、長島茂雄さんの リハビリ担当医としても知られています。

長島茂雄さんは、酒向先生の指導のもと、脳卒中の重い後遺症から見事に立ち直り、その元気な姿を多くの人に見せることによって 人間の可能性と同じ後遺症に悩む人たちを励まし続けています。

酒向先生もさることながら、いつも希望と夢を与えてくれるミスターは、 本当にすごい人ですね。

酒向先生のリハビリは、東京都世田谷区にある世田谷記念病院で受けることができます。

リハビリの現場を見ると、生きるという意味を改めて考えさせられますね。