高齢化社会とともに、どんどん増えている認知症。私たちの世代は、親の介護に加え、若年性の認知症も増えているだけに他人事ではありませんね。

認知症には、
①βアミロイド蛋白が脳内に蓄積し脳が委縮してしまうアルツハイマー型認知症
②脳の血管が詰まったり破れたりしておこる脳血管性認知症
③レビー小体が大脳皮質にたまってしまうレビー小体型認知症
があります。

中でもアルツハイマー型は、認知症全体の40~60%と言われています。

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また、脳血管性は生活習慣に起因しますが、アルツハイマー型の場合は、まだ原因が明確ではなく、決定的な治療法も確立されていません。

しかし、初期段階の「軽度認知障害」(MCI)での対処方法次第で認知機能を維持し、今までの通りの生活をすることができるといいます。

そのためには、いくつかの大切なチョイスがあるようです。

岡山県認知症疾患医療センター 片山禎夫先生と若狭町福祉課 高島久美子さんから、そのチョイスを学びます。

認知症とわかった時の対応

青森県弘前市の前田栄治さん(56)は、49歳のときに認知症の初めの症状が現れました。

奥さんが言ったことをすぐに忘れてしまうのです。そこで、病院へ行きMRIをしましたが異状なしだったそうです。

それでも、おかしいと思って、近くにできた物忘れ外来で専門医に診てもらったところ、早期のアルツハイマー病でした。

●チョイス1・・・早期発見できるか

・初期の判断は難しい
・おかしいと思っても専門家に相談するまで1年以上、または、かかってない人の合計が53.3%

歳のせいだと思った・・が、その理由だそうです。初期では、MRIだけでは判断できないので、家族の方の協力が必要です。

もの忘れ外来では、MRI、SPECT、脊髄液の検査により総合的に判断します。

もの忘れ外来がない時は、神経内科、精神科、脳神経外科で診療をうけてください。

●チョイス2・・・病気の進行を遅らせる

①薬の服用 
現在4種類の薬があります。早めに服用すれば進行を遅らせられます。

②自立生活の工夫
・カレンダに予定を書き込む
・今日はいつかを日めくりカレンダー確認する
・ホワイトボードで時間の管理をする
・一日の終わりに日記を書いて思い出させる

このようにして、自分でできることを自分ですることで、前田さんの認知機能は、6年間変わってないそうです。それを実現するためには家族の支えが必要です。

●チョイス3・・・病気を隠さない

夫が職場で勤められるように、会社にありのまま話して支障の出ない軽い業務に変えてもらいました。

奥さんは、夫の仕事を支えるため常勤を止めてパートに切り替えました。隠して孤立化すると、脳の機能がどんどん衰えてしまいます。

地域ぐるみのサポート活動 福井県若狭町

認知症対策室の高島久美子さんは、高齢者のお宅を戸別訪問し、認知症を早期発見し専門医の受診をすすめています。

また認知症のいる家の近所の方を集め、認知症を理解してもらうため勉強会をしています。

その結果、認知症の早期発見ができ、他の地区より入院する人が1/5だそうです。

また、若狭町は町民一体で認知対策を支援しており、講習を受けた認知サポーターが7000人いるそうです。

その人たちは、皆オレンジの腕輪をして地域全体で暖かく見守っているそうです。

若狭町の皆さんは、素晴らしい活動ですね。勇気をもって相談し、みんなの助けを借りることが必要なんですね。