片頭痛に悩む人は、推定840万人いると言われています。小さいころから片頭痛に悩まされ、鎮痛剤が手放せない人も多いかと思います。

片頭痛には、一次性と二次性があります。一次性というのは、検査をしても原因が見つからないケースで、片頭痛、慢性片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあります。

二次性というのは、脳出血や脳腫瘍くも膜下出血など原因があるもの。この場合には、すみやかに治療しないと命の危険があります。

片頭痛

一次性のものは、治らないと言われてきましたが、実はこれらの人の多くに、心臓の欠陥が見つかるようになりました。

その欠陥とは、心臓に穴が開いている「心房中隔欠損症」(しんぼうちゅうかくけっそんしょう)と言われる症状です。

心房中隔欠損症は、右心房と左心房の間を隔てる膜に穴が空いている状態をいいます。

この穴は「卵円孔開存」(らんえんこう)といい、実は胎内にいる赤ちゃんのすべてには、このような穴が空いるそうです。

通常は、出産後数日で自然に閉じるのですが、中には閉じないでそのまま大人になっているケースがあります。

放っておくと、血栓ができて脳に飛び脳梗塞を起こしたり、心臓に負担がかかり続け心臓肥大をおこしたりするため、手術により穴を塞ぐことが必要となります。

心臓の穴を塞いだら長年悩んでた片頭痛がなくなった

穴をふさぐ方法は、カテーテル手術で穴の空いた部分をに小さなフタを取り付ける方法(アンプラッツアー)と、人工心肺で一時的に心臓を止め、心臓をあけて外科的に縫合する方法(小開胸手術:MICS)があります。

これまでの手術法は、胸を開けて行うMICSしかありませんでしたが、穴の大きさや場所によりカテーテルで対応ができるようになりました。

この手術を受けた人の中に、相当数の片頭痛の人がいたのですが、高い比率で片頭痛がなくなったという報告があったそうです。

この分野では日本のトップの治療を行っている岡山大学が、それらのデータを集計したところ、治療した39人のうち19人が片頭痛持ちで、
穴を塞いだ後、13人の患者の片頭痛が消え、5人が大幅に改善したという結果だったそうです。

片頭痛が止まった理由は、静脈に多いセロトニンが穴を通って動脈に流れ込み、脳へ運ばれていたのが塞がれて流出しなくなったためと考えられています。

セレトニンは神経伝達物質で、脳の血管を収縮させる作用があります。

岡山大学では、これらの結果から、片頭痛と心臓の穴の関係に注目し、双方の治療にあたっているそうです。

片頭痛の人を調べた結果、約4割に心臓に穴が空いていて、それを塞ぐことで片頭痛改善にかなりの効果があると期待されているそうです。

強い片頭痛にお悩みの方は、一度心臓の精密検査を受けてみてもいいかもしれませんね。

(情報参照先:日本経済新聞 日曜に考える)