今や失明の原因の第4位は「加齢黄斑変性」。加齢と言う名前がついていますが、50代でも発症し、実際には40代から症状が始まっていると言います。

今回、「主治医が見つかる診療所」では、この加齢黄斑変性を詳しく紹介してくれました。

解説してくれたのは、東京港区六本木の「深作眼科 六本木院」深作先生です。

失明する可能性のある目の病気

まず、このような失明する危険があるかどうかのチェック法があります。

1.スマートフォンが手放せない 1点
2.40歳以上である 1点
3.外食が多い 1点
4.日中は外にいることが多い 1点
5.煙草を吸っている 1点
6.よく転ぶようになった 3点
7.コップにお茶が上手く注げなくなった 3点
8.細かい文字が読めなくなった 3点

4点以上の場合、放っておくと加齢黄斑変性での失明の危機があります。

番組で紹介された加齢黄斑変性の初期症状と治療

加齢黄斑変性の主な原因は、黄斑の奥にできた新生血管の出血です。

54歳の女性の場合 4年前の2月に発症

ある日、右目だけ急激に視力が低下しましたが、その時の診断結果は異常なしでした。視力が落ちただけなので、コンタクトレンズの度数を変えるなどで対応しました。

その1年後、階段を下りようとしたとき、階段が波打っているようになり、どこかに掴まらないと足が踏み出せなくなりました。

その時の診断は加齢黄斑変性。すぐに手術して失明を逃れましたが、そのまま放っておいたら失明していたそうです。

実は、この女性の場合、40代からすでに症状が発症していたと思われます。

72歳女性の場合 2年前発症

ある日、テレビを見ていると目に違和感を感じました。片目ずつテレビを見てみると、右目は問題なく見えますが、左目は真っ暗で何も見えませんでした。

この瞬間、出血が起きたと考えられます。この女性の場合、黄斑の奥にできた新生血管の出血の影響で一時的に左目が見えなくなったそうです。

出血が多いと急激に進行し、出血の量によっては、1日で失明に至るケースもあるそうです。女性の場合は、目の出血を止めて黄斑の腫れを抑える薬を直接目に注射し、失明を免れました。

70歳男性の場合 5年前の4月に発症

ある日、障子のサンを見ると、両目で見ると問題なく見えますが、右目でみると障子のサンがゆがんで見えました。左目で見た場合は正常でした。

目は、通常良いほうの目が悪いほうの目を補ってしまうため、両目で見ると正常に見えてしまいます。これにより病変を見逃してしまう可能性があります。

また、他の男性の場合、ある日天井を見ると、円形の黒いのが天井に見えました。この男性の場合、注射の治療で失明を免れました。

60歳男性の場合 2年前2月に発症

テレビの色が、右目で見ると青色が左目でみると黄緑に見えました。受診すると加齢黄斑変性と診断され、歪みもあることからすぐに治療が必要な状態でした。

この男性の場合、手術を受け、色が元通りになり歪みもなくなりました。

64歳女性の場合

外を歩いているとつまずいて転ぶようになりました。段差や高さがちゃんと一定に見えなくなり、高く見えている所が低くて、自分の感覚で行ってしまうと、転んでしまいました。

また、ちゃんと湯呑茶碗に急須から注がれることがなく、テーブルにこぼしてしまうことが増えました。

そのころには、物が歪んで見えるようになり、ようやく病院に行くと両目とも加齢黄斑変性と診断されました。

左目は病状が進行しており、手術が必要な状態でした。この女性の場合、左右の視力の差が生じ、遠近感がつかめなかったことから、上記の様な症状が起きていました。

手術後は、視力も戻り歪みもなくなりました。

加齢黄斑変性の症状は・・
●障子のサンがゆがんで見えた
●視界の中心が円形に黒く見えた
●青色が黄緑色に見えた
●遠近感がつかめなくなった
などが多い症状です。

自宅でできるチェック法

マス目の入った紙を用意します。目から30cm離して、片目で中央の黒い点を見つめます。中心が欠けたり、マス目が歪んで見えたら要注意です。

チェックシートは、障子のサンや碁盤の目など格子状の物でOKです。日頃から、片目ずつ見てチェックを心がけましょう。

加齢黄斑変性の治療法と予防

治療法は注射と手術があります

初期の段階は、眼に直接注射をして薬を注入し、新生血管を縮小させ回復させます。

中期以降になると網膜の上にごく薄い膜ができてくるので注射では効果があまり望めません。そのため、網膜の上にできた薄い膜をはがす手術が必要になります。

薄い膜を剥がすと、黄斑の下に溜まった血液などの成分が外に流れだし、炎症が治まり視力が回復します。

薄い膜は、先端の幅0.4mmと言う極細いピンセットを使い剥がします。手術時間は20分ほどだそうです。

手術前は歪んでいたマス目も、手術後1週間で正常になるそうです。手術前は凸凹していた黄斑も、手術後一週間で平らになっていました。

緑内障、白内障、加齢黄斑変性と目の病気はいくつも重なっているのが普通だそうです。逆に1つだけと思う方がおかしいと先生は言っていました。

予防に効果的な食品

ビタミンA→レバー、ニンジン
ビタミンC→赤ピーマン、キウイ
ビタミンE→アーモンド、たらこ
亜鉛→牡蠣、牛肉
ルテイン→ほうれん草、ブロッコリー

不規則な生活や暴飲暴食、スマホやパソコンのブルーライトなどにも注意が必要です。

また、白内障の手術をした人は、加齢黄斑変性になりやすいのでこまめにチェックしてくださいとのことでした。