NHK今日の健康のテーマは、「加齢黄斑変性」。この病名、最近では良く耳にするようになりました。人間が長生きすることで圧倒的に増えた眼の病気です。

症状は、物がゆがんで見えたり、中心がぼやけて見づらかったりします。症状は、両眼共に生じる人はまれで、ほとんどの人は片眼から発症し、長い期間をかけてもう片眼へと進行していきます。

片眼から始まることにより、正常の方の眼で補ってしまうので、早期発見が難しくなります。自己チェックは、からなず片目で行ってくださいね。

加齢黄斑変性のチェック法

加齢黄斑変性のチェックは、片方の眼で行います。

●線がゆがむ (障子のサンや升目などでチェック)
●真ん中だけが見えにくい
●目を動かしても見えにくい部分がついてくる

早期発見が大切な理由は、視力が徐々に低下し、悪化してから受信すると、視力の改善は得られず、さらに悪化することが考えられるからです。

加齢黄斑変性は、新しい薬も登場し、早期発見・早期治療を行えば、改善も可能な病気です。

滲出型の治療法

滲出型の主な治療法として
●抗血管新生治療法
●光線力学治療
があります。

抗血管新生治療法は、最近登場した新しい治療法で現在もっとも多く行われている治療法です。

新生血管を成長させるのは、VEGFと言う物質なのですが、そのVEGFの働きを抑える薬を眼球に直接注射することで新生血管を減らします。

点眼薬で目に麻酔をかけ、抗VEGFを注射します。現在は、3か月にわたり、毎月1回注射を行い、その後は、状態を見て、注射を追加して行きます。

近々発売される薬では、2ヶ月に1回の注射になるので、患者さんの負担が減ると思われます。

光線力学療法は、レーザーを使って、新生血管を閉じる治療法です。

光が当たると化学反応を起こす薬剤を、腕の静脈に注射し、その後、新生血管に弱いレーザー光線を当てて退縮させます。

点滴の薬剤は、新生血管に集まる特徴があるため、弱いレーザーでも新生血管にだけ、レーザーの効果が強く起こり、周囲の正常な組織へのダメージを最小限に抑えることができます。

この治療は、新生血管をほぼ抑えることができますが、治療の3か月後に検査を行い、再発していれば、また治療を行います。

どちらの治療法が良いのかと言うと、光線力学療法と言うのは、新生血管の場所や形で、有効なものと有効でないものがあるので、効果のないタイプの物には適応しません。

これに反して、抗血管新生療法は、どちらのタイプにも有効ですので、現在ではこちらの治療法が多くなっています。

心配な副作用ですが、抗血管新生治療法は今のところ副作用の報告はありません。光線力学法では、皮膚の弱い方では、治療後48時間以内に強い光に当たると、光過敏症になり、やけどの様な皮膚炎を起こしやすいため、注意が必要です。

加齢黄斑変性は、加齢が原因なので、避けようがないのですが、加齢の他、危険因子があります。

●喫煙(酸化ストレスが目に蓄積し炎症を起こす)
●肥満(統計的に、IBM値が高い人は発症率が高い)
●日光(太陽光の中の青い光が網膜に影響する)

禁煙することは、発病を予防する以外に、進行を遅らせることもできますので、煙草を吸っている人は、禁煙は必須ですね。

加齢黄斑変性は、早期発見・早期治療で改善も可能です。片眼でチェックを怠らず、おかしいと思ったら、すぐに眼科を受診することをおススメします。