今、医療の現場には、手術を支援するロボットが続々登場しています。そして、ついに心臓手術をこなす最先端医療ロボットが出現しました。

その名は、手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ(da Vinci Surgical System)」。

このダ・ヴィンチは、心臓弁が上手く動作せず血流の逆流が起こる僧帽弁閉鎖不全症などの手術や、心臓の壁に穴が開いている心房中隔欠損症を、内視鏡下で行うことができる手術支援ロボットマシンです。

このロボットを操るのは、心臓血管外科医のスペシャリスト 渡辺剛先生。内視鏡を覗きながら、ロボットアームを自在に操り手術をすすめていきます。

僧帽弁手術では、弁形成を一回できれいに治すことができるので、体や心臓への負担も軽くすみます。

また、手術後に抗凝固薬を飲む必要もなく、弁機能不全や脳出血なども心配も少ないそうです。

さらに、手術傷が小さいので術後の回復が早く、ほぼ3~5日で自宅に帰ることができます。

心房中隔欠損症の手術では、外科手術とカテーテルという2つの治療方法がありました。

心臓外科手術は、胸骨を開き、場合により人工心肺機能を使い一時的に心臓を止めて手術を行います。

実績が多い手術法であり、確実に穴を塞ぐことができる反面、胸に15cm~20cmの傷跡が残る、体にメスを入れ心臓を止めるため身体に大きな負荷がかかる、入院日数が長くなるなどの欠点がありました。

カテーテルによる治療は、足の付け根の太い血管からカテーテルを入れ、心臓まで到達させ、穴のあいた場所にアンプラッツアーと呼ばれる蓋を入れて塞ぎます。

入院期間も2~3日と短く、身体への負担も小さいことから、最近注目されている治療法です。

しかし、穴の大きさや位置によって取り付けられないことがある、脱落する危険性があるなどの問題がありました。

ダ・ビンチによる内視鏡手術は、その両方のメリットだけを実現するまったく新しい手術法なのです。

内視鏡下での手術のため、体に開けられる穴は小さく、ほとんど傷跡が目立つこともなく、身体への負担も小さくてすみます。

また、直接心臓の状態を確かめながら、確実に施術することができます。

このダ・ヴィンチによる手術を行うのは、心臓血管外科医 渡辺剛先生は心臓外科のスペシャリストです。高度な技術が要求されるこの心臓手術を「チーム渡辺」が支えます。

現在、この手法で手術を行っている施設は
・金沢大学附属病院 心肺・総合外科(第一外科)
・国際医療福祉大学三田病院(東京)
・高木病院(九州)

また、渡辺先生の診断を受けるには
・金沢大学附属病院 心肺・総合外科(第一外科)
・自由が丘クリニック(東京)
だそうです。

今まで不可能だった手術や治療も、どんどん可能にしてくれるロボット技術。私たちの将来も、しっかり支えてくれそうですね。
(※本記事は2013年3月現在の情報です)