生きている限り、毎日確実に動き続けている心臓。その鼓動の回数は、なんと30億回だそうですよ。

高度な精密機械が色々ありますが、30億回の動きを正確に刻みつけている心臓には、到底かないませんよね。

「なぜ心臓病が起こるのか」それは、人類の起源に原因があります。一番の問題は、700万年前おきた直立二足歩行。

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これによって重力と心臓との闘いが始まります。つまり、心臓よりはるか下の位置にある足に送った血液をどう上に戻すかという問題。

そう言われてみれば、四足動物は、心臓の位置が手足の末端から近い位置にありますよね。

そして、巨大に発達した脳へ大量の血液をどう上げるかという問題。これも、脳の位置が心臓位置とほぼ平行にある四足動物とくらべて見ると、なるほどと理解できますよね。

結果、人間の心臓には強い負担を強いることになり、心臓病のリスクがどんどん増えていったそうです。

今回は、宿命的な欠陥が生まれてしまった心臓の進化の過程と、劇的に改善する心筋梗塞の最新治療法が紹介されました。
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心臓は80億個の心筋細胞が一斉に動くことで収縮させ、全身10万キロ(地球2周半)の血管へ血液を送りだしています

爬虫類の心臓の構造を見てみると、心臓の筋肉がスポンジ状ですが哺乳類の心臓は、筋組織が高密度になっています。

そのため、その密で分厚く変化した心筋のすみずみまで、酸素と栄養を送るために、心臓の中に細い血管を張り巡らしました。

その結果、心臓の機能が格段に高まり、大量の血液を全身に送り、高い運動能力を手に入れることができたのです。

しかし、その代償として、心臓の血管がつまりやすくなり、筋細胞が壊死してしまう心筋梗塞の問題が起こるようになったのです。

人は進化の過程において、不整脈や、心不全、心筋梗塞など、心臓に異常が起こりやすい宿命を、抱えることになったのです。

人は立ち上がると、横になっているときより心臓の大きさが3割小さくなるそうです。立ち上がると、下半身に血がたまってしまい、心臓に戻ってくる血液量が減ってしまうからです。

さらに、心臓の上にある脳へ血流を送るため心拍数が上がります。その血流を確保するため、立ち上がると同時に交感神経が働き、下半身の血管を細くして、下半身への血液のたまりを防ぎます。

そうすると、細い血管に血液を送るため、さらに心臓に負担がかかります。二足直立歩行することで、脳を発達させ進化を遂げてきた人間は、心臓の負担を、どんどん増すことで対応してきたんですね。

心臓病の新たな治療

これまで心臓病には、安静が一番とされてきました。しかし、最新の研究では、心拍数や血圧を管理しながら運動することで心臓病の再発を減らせることがわかってきました。

足を動かすと筋肉が静脈を締め付け、血液を上に押し上げる力が働きます。つまり、運動で足を鍛えれば、患者の弱っている心臓を補うことができるのです。

運動を心臓病の治療に取り入れると、再発を3割も減らせるそうです。

心臓の最新治療

東北大学で行われている、心筋梗塞の治療法が注目されてます。その治療法とは、心臓に衝撃波を当て、詰まってしまった血管に変わる新たな血管をつくりだすという「低出力体外衝撃波治療」です。

外部から衝撃波を当てると、心臓をマッサージするような効果があり、この刺激により、血管内に新しい血管が増えていきます。これまで40人が治療を受け、そのほとんどの人に改善が見られました。

2年前に心筋梗塞で倒れた男性も、この治療で救われた一人。命は取り留めたものの、心臓の機能が落ち以前のように働くことができなかったそうですが、衝撃波治療を受けて2ヶ月後仕事に復帰できるまで回復するようになったそうです。

この治療は、心筋梗塞のほか狭心症などの治療にも使われているようです。