ニュースeveryで紹介されていた心臓疾患患者さんへの「細胞シートによる最先端治療」。私の姉は、拡張型心筋症で亡くなっていますので、あの時代のこの治療法があれば、もう少し長く生きられたかもしれないと思いながら見ました。

この治療法は、足の筋肉から取った細胞をシート状に培養し、心臓に貼るだけで衰えた機能が回復すると言います。

ニュースで紹介された心疾患の患者さんは22歳の女性。2年ほど前、突然体のむくみを感じ、立てないほどの疲労感から受診すると「急性心筋梗塞」ですぐに手術が必要な状態でした。

女性の心臓は、普通の人の心臓に比べると縮む力が弱くなり、緊急手術の後も、機能が回復しませんでした。以前のような日常生活はできなくなり、将来は心臓移植が必要と診断されました。

女性は、昨年、細胞シートによる心臓の再生医療の存在を知り、この治療を受けてみることにしたそうです。この治療を行うのは、大阪大学医学部付属病院、澤芳樹教授のチームです。

この治療は、まず、患者本人の足から筋肉を切り取ります。そこから筋肉を作り出す細胞「筋芽細胞(きんがさいぼう)」を取り出します。筋芽細胞は太ももに多く存在するそうです。

切り取った筋肉は、およそ10g。それを無菌の状態の部屋に運び、余分なものを取り除き、筋芽細胞だけを取り出します。

これを、約5億個まで培養すると、厚さ約0.1mmの薄いゼリー状のシートが出来上がります。これが細胞シートです。

シートは、足の手術から20日ほどで完成します。

このシートを患者さんの弱った心臓に貼ると、シートから出るたんぱく質が新たな血管などを作り出し、弱っていた心臓を元気にします。

番組で紹介された女性の場合は、6枚の細胞シートを使用。接着剤の役割を果たす液体で心臓に固定し、手術は2時間ほどで終わりました。過去30例の経験から考えると、少なからず症状の改善は期待できるそうです。

女性の心臓も、移植が必要ないレベルまで回復する可能性もあるそうです。

また、この治療法は、自分の細胞からシートを作っているため、拒絶反応はありません。効果が表れるのは、半年後くらいのようです。

これまで28例の手術が行われ、1年以上経過した17例のうち、15例に改善が見られたと言います。

この治療は、人工心臓や心臓移植に取って代わるという意味ではないようですが、症状の悪化が防げたり、もしくは、そこから症状が改善して日常生活のレベルが上がることが期待されています。

番組で紹介された女性の場合、数か月後の検査で心臓の機能を表す数値が上がっていました。まだ、以前より若干疲れを感じなくなった程度だと言いますが、半年後が楽しみですね。