水虫は、足だけと思っている方も多いのでは?

水虫の原因になるカビの一種、白癬(はくせん)菌は、
足だけでなく、頭や体にも感染します。

頭部に感染した場合は「しらくも」、体に感染した場合は、「たむし」と
よばれます。十数年前、海外より感染力の強い菌が入ってきたことにより、
国内でも広がりを見せています。

ある10代の女性は、帰省した時、いとこの柔道部員から
感染したそうです。

自宅に戻ってから、体に直径1センチ~2センチの湿疹のような
赤い縁取りの斑点がいくつもでき、検査したところ
トリコフィトン・トンズランスと言う菌に感染していました。

トンズランス菌は、2000年ころ南米から日本に入り込み、柔道や
レスリングなどの格闘技の交流試合などで選手間に広がって
いったとみられます。

相手が感染していれば、数分間の接触でも移るほど感染力が強く、
感染者と2週間ほど生活を共にすると、肌が触れ合わなくても
移る可能性が高くなります。

トンズランス菌は、感染力が強いのですが、症状は比較的軽く、
ふけやかさぶたが少しできたり、毛穴に菌が入り込み黒い点が
できるといった程度にとどまる場合が多いようです。

ただし、重傷の場合は、頭皮が盛り上がり、膿がでたり、
脱毛が起きたりするケースがあります。

円形脱毛症がなかなか治らない場合は、トンズランス菌の
検査をするものおすすめです。

トンズランス菌の検査は、短毛のブラシを使い、先端が頭皮全体に
当たるように、やや強めに10回から15回とかします。
そのブラシの先端を寒天に押し込んで培養し、2週間後の菌を調べます。

菌が特定できたら、たむしの場合は、塗り薬を使います。
頭皮の場合は、菌が少ない人は、抗菌剤入りのシャンプーを
使用して様子を見ます。菌が多い人は、飲み薬を使うのが基本です。

免疫機能が低下すると菌が繁殖してしまうので、免疫を抑える
ステロイド剤は使用しないのが現在の治療法です。

なかなか治らない「しらくも」や「たむし」にステロイドを使用している場合、
菌を特定することが大切です。

治療後1週間で症状が消えますが、この時点では菌が残っているので
保菌者になります。症状が消えた時点で治療を中止することなく、
菌がしっかりなくなるまで1か月から2か月程使い続けることが
周りの人に感染させないマナーになりますね。