いつの間にか、日本の平均寿命は、男性80.21歳、女性86.61歳(2013年)となり、世界一の長寿国になってしまいました。

高齢者人口は3000万人で4人に1人が高齢者、そのうち600万人が一人暮らしで、その半分の300万人が生活保護水準以下の生活費しかないそうです。

300万人のうち生活保護を受けている人は70万人だそうです。残りの230万の人は、生活保護を受けず年金だけで生活しているそうです。

年金

国民年金の満額の支給額は 772,800円(2014年)ですから、月額6万4千円しかありません。これで、家賃、水道、電気、ガス、食費、衣服のすべての生活費を賄うことは、日本で生活する場合ほとんど不可能です。

生活保護の支給額は、住んでいる場所や家族構成により違いますが、その土地で生活できるための最低の金額が保証されます。

生活保護で算出される金額は、年金の倍以上もあります。なのに、なぜ生活保護を受けないのでしょうか。

生活保護を受けるには厳しい審査があり、売却できる土地や建物があったり、貯金などがあると生活保護が受給できません。

また、周囲に貧しい暮らしを知られたくないと、自分から受給を拒んでいる人もいるそうです。

長生きすればするほど、色々な問題に直面する我が国の社会福祉の現状。はたして、私たちはこれからの老後どう生活すればいいのか・・・、シリーズ老人漂流社会の続編です。

NHKスペシャル 老人漂流社会の続編

今、年間120万円未満の高齢者が300万人います。その中で、生活保護を受けている人は70万人。

残りの200万人余りは、生活が苦しいため医療や介護を十分に受けることができないでいるそうです。

大阪に住む男性の年金は月10万円。家賃に6万円がとられ1日500円以下の生活を続けています。安い家賃のところへ移りたのですが、引越し費用がありません。

自宅は電気がとまり、夏の暑い時はクーラーが使えないため、区の施設で過ごし、夜に自宅に戻りガスの灯りで夕食をとります。

頭痛がしても、病院にもいけないため市販の薬を飲むだけです。

「やることやったんだから早く死にたい・・、けど自殺するわけにはいかない。不安に暮らさないようにするためには、死ぬしかないんだけど・・」と言います。

国民全員が加入する国民年金制度ができたのは、今から50年前の高度成長の時代です。子供との同居が前提での仕組みでした。当時は、親と同居するのが当たり前で3世代同居率は60%ありました。

そのため、年金の金額は、自分と孫の小遣い程度で十分との考え方だったようです。しかし、現在の3世代同居率は13%で、高齢者の半数が一人で生活しています。

国民年金制度ができた当時とは、まったく家族形態が変わっているのに、その当時の年金制度が継続されていることに問題があるといいます。

子供がいても、離れている子供に頼ることもできません。まともな生活ができないことは、人間の尊厳が損なわれている状態だといいます。

生活ができない高齢者破産は、都会ばかりでなく地方でも進んでいます。84歳の農業を営む女性の場合、夫が生きていた時は13万円の年金がありました。

しかし、夫が亡くなった今、年金が半分になり、貯金も底をつき生活することが困難になってきました。

この女性の場合には、先祖の田畑と自宅があるため生活保護を受けることもできません。

先祖代々の土地は離したくないと、月1万円の生活を続けています。心臓の狭心症があるため、医療費の1割を払い病院に通っています。

「長生きするとお金がかかる・・お金も底をつくので長生きはしたくない・・・」といいます。

75歳以上の高齢者の場合、医療費は一律1割負担となります。また、介護サービスを受けるにも一律1割の負担がかかります。

その費用がないため、病院へも行かず介護サービスも受けず、一人でじっと生活している高齢者が増えているそうです。

●介護サービスの利用
利用している 15.7%
利用してない 81.6%
無回答   2.7%

東京都北区に住む80代女性の生活費
・収入(月額)
国民年金 61950円
遺族年金 17500円    合計 79450円

・支出
家賃 10000円
介護利用料 30000円
光熱費  10000円
配食サービス 20000円
生活費  40000円     合計 110000円

赤字 ▲30550円

このような状況の中、現在は何の打開策も提示されていません。

年金5万円の人から、一律で同じ金額の医療費や介護費をとること事態に無理があるといいます。

参考となるのは、フランスで導入されている制度間調整だといいます。制度間調整とは、年金が少ない人には、介護や医療の負担が重くならないようバランスをとる制度です。

生活の最低費用は13万だった場合、その13万円を下回らないよう生活を保証する仕組みが必要だといいます。
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崩壊している年金制度の中、自宅での介護が要求されお金のかかる寿命だけが、どんどん伸びていく現状。

もう死にたい・・、もう死なないと・・と国民に思わせるような国であってはいけないと思います。もっと、しっかり向かいあってほしいですね。