老人漂流社会と題した、今回のNHKスペシャルは、今の日本社会のありのままの姿を描き出しています。

世界トップの長寿国になったにも関わらず幸せな老後とは程遠い現実。

まわりを見ると、本当に悩める高齢者だらけです。

・一人暮でひっそり生活している方
・病院と施設をいったり来たりしている方
・お金がなくて施設に入ることもできない方
・入院もできず我慢して生活している方
・子供の家を点々としている方
・病院と施設をたらい回しされている方
・体調が悪いにもかかわらず病院へいけない方
・認知症を抱えてどうしていいかわからない方
・介護されながら介護者の面倒を見ている方

社会的な体制も仕組みもなく、年金制度も崩壊し、この先、どう生活していけばいいのかわからない老人たち。

そんな中、かつてホームレスの臨時の保護施設だった無料低額宿泊所が今、高齢者でいっぱいだそうです。

いったい私たちの終の住処は、どこにあるのでしょうか。

年々平均寿命は伸びるばかりで、老後計画も資金も住むところもまったくめどがたたない現状。

こうなると、長生きすることがすべての不幸の始まりのような社会になってきてしまいます。

お金のない高齢者は、社会の邪魔者になってしまいます。

そして、10数年後、私たちの年代が高齢になると、さらに状況は悪化していくとこは明白です。

どうすればこれらの問題を解消できるのでしょうか・・。今、まさに日本の社会機構そのものが崩壊しようとしています。

高齢者に終の住処はあるのか

ある老人は、ショートスティ用の施設を1ケ月ごとに転々としてました。

この男性の要介護度は4で、食事やトイレも一人でできず日常生活全般に手助けが必要です。

にもかかわらず、短期の場所を転々するのは、長期で滞在できる施設に空きがないためです。

この男性はようやく長期が決まりましたが、施設の料金は14万円、男性の年金65000円に生活保護75000円を加え入居することになりました。

一人暮らしの老人で、年金が100万円未満の人は全体の40%になるそうです。こうした人は、彼のように生活保護に頼らざるを得ません。

収入に応じて安い料金で入れる「特別養護老人ホーム」があるのですが、絶対数がまったく足りていません。現在、全国で42万人が待機中、東京都でも3年待ちだそうです。

このような現状に対し、国は今、高齢者専用の賃貸住宅「サービス付き高齢者向け住宅」を2020年までに60万戸作る計画です。

利用料金は月10万円~50万円まで、サービスの内容や場所によって差があります。

介護スタッフは常駐しており介護保険を使ったサービスも受けられますが、医療スタッフがいないため認知症など病気をわずらったときは、出ていかなければなりません。

●放送大学教授 宮本みち子さん の話
家族の支えがない高齢者が増えれば、これまでの生活保護制度では対応できなくなります。

今の日本は、残念なことにケアをお金で買うしかない、それができないときには、生活保護を受けるしかありません。

これからは、家族で支えられない超高齢社会を前提とした社会づくりが必要だといいます。

●みずほ情報総研 藤森克彦さん の話
今まで日本では、低所得でも入れる低所得高齢者向け住宅が住宅政策としても、社会保障政策としても弱かったと思います。

これからは、低所得高齢者向け住宅として家賃保障や生活支援サービスがついている住宅を、既存の公営住宅などを利用して整備し、拡充していく必要があると思います。

●NPOが運営する無料低額宿泊所
部屋は自治体の福祉課が確保しています。居場所を失った高齢者に生活保護費を支給した上で斡旋しています。

3畳1間、3食ついて月約14万円、しかし、こうした施設では、医療や介護を受けることができません。

そのため、病気になると病院へ入院しなければならず、退院するとまた、新たな施設を探さなければなりません。

●宮本みち子さんが語った福祉のあり方
漂流しないためには、自立できなくなりつつ段階から最後の終末までちゃんと道筋のついた施設、機関、サービスがきちんとおかれている必要があります。

人は定住できる安心感が絶対必要で、歳をとって弱ったときに最後までいられる、そして心ある人たちが見守ってくれる環境が必要だと思います。

これが最低限度の尊厳ではないでしょうか・・。

病気で倒れたときに、いさせてくれるのではなく出て行かなくてはならない社会の仕組み、高齢者がやすらかに終末を迎える場所さえないのが、今の日本の現実なんですね・・。

派閥や政党など守るのではなく、私たち国民を本当にしっかり守ってほしいですね。